ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

死亡記事とバカの壁

小学生の娘が早朝から読書をしていたらしい。
なんだか私も触発されて、本が読みたい!と思ったけれど
注文してある本はまだ来ず。
さて、何を読もうかしら、というときに手に取る本は斉藤美奈子

『妊娠小説』以来のファンで、ほとんどの著作は読んだけれど
彼女の本は時事ネタよりは、書評ネタが好き。
書評に絡めて世相を皮肉ったり、違う視点を気づかされたり、
書評で悪態ついているのにその本を読みたくなる、
そんな書評を書ける人はなかなかいない。
そして、いつも彼女の読書量の前にひれ伏してしまいそうになる。
雑誌のおすすめ本や新聞の書評、雑誌のランキングより、
私は斉藤美奈子の書評に厚い信頼を寄せている。

本を再読することは滅多にないので、手元に本は置かないけれど
この本だけは手放さない。

 

誤読日記 (文春文庫)

誤読日記 (文春文庫)

 

 
壇ふみ阿川佐和子を「ここまで清純派を全うできればすごい」と感心し、
中村うさぎの発禁本を取り寄せて読み、
斉藤孝の『声に出して読みたい日本語』を
「他人のふんどしで相撲を取っている気がする」とばっさり。
外務省の暴露本や自己啓発本まで、ジャンルは多岐に渡っていて
読むたびに読みたくなる本が出てきて、
自分が本を読んでいないことに気づかされる。

 

今回、読みたくなったのは『私の死亡記事』。
「豪華執筆陣102名」らしい。

 

私の死亡記事 (文春文庫)

私の死亡記事 (文春文庫)

 

 
ヒーローのように最果ての地で行き倒れたり、
海や山やあちこちに骨撒き過ぎ願望がみなさん多いとか。

 

自らの死亡記事を書くということは、書き手のセルフイメージを
公開すること。業績をマジメに列挙したらしたなりに、
ふざけた死因などをでっち上げたらでっち上げたなりに、
各々の自意識がどうしようもなくにじみ出てしまう。
出てくる感想は「やっぱりバカだな」か「意外にバカだな」、
つまりどう書いても「バカじゃなかろか」に見えてしまうのだ。

 

 

私も自分の死亡記事を書くなら、
「美人薄命を地でいき、四十手前にて死去」とか
「世界一周クルーズ旅行のクルーズ船に乗る手前で階段を踏み外し
打ち所が悪く数日後に死去」
いろいろ考えてみたけれど、自分で死亡記事を書いて
「やっぱりバカ」と「意外にバカ」の壁を越えれそうにない。