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ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『さようなら、オレンジ』

初めて読んだ作家だったけれど、ほかの作品も読みたくなった。

 

さようなら、オレンジ (ちくま文庫)

さようなら、オレンジ (ちくま文庫)

 

 

著者は在豪20年らしい。
あらすじは、アフリカ難民の女性がオーストラリアで
就労し、言葉を学びながら、同じ移民の人々と
触れ合いながら人生を切り開いていく。
日本人移民もいれば、イタリア人移民もいて、
それぞれが一様に差別や言語、文化にもがきながら。

この本に共感できる人って、ものすごく狭い範囲の気がする、
と思いながら、読んだ。
海外で学んだ人、生活した人には感情移入しやすいだろう。
さらっとした文体で、淡々と物語は進んでいく。

主要登場人物の一人に日本人女性がいる、
大学まで出たのにオーストラリアの大学で
英語を母語とする大学生の議論に参加できなかった、
その悔しさを書いた一文だけで泣きそうになった。

母語を流暢に扱える人ほど、外国語のギャップに苦しむ気がする。
日本語ならもう機関銃のように話して、
論破しなければ気が済まないの?
とまで言われたほどなのに英語になると急に言葉がでなくなる、
言いたい言葉に単語がついてこない、
語彙力が乏しくて言葉が稚拙になる、
そういう経験を私もした。
というより、現在もあまり変わってない気がする。

海外のパルたちとスカイプなどで話し始めた4年ほど前。
彼女たちの、「さぁ、待っているから言ってみて。」
という表情や、ゆっくり話したり、
「さっきの意味わかった?」と聞いてきたり、
頼んでないのに繰り返したり…。
小学生レベルの英語でも、こちとら大人だから!と
何度も怒ったりした、
そして、そのレベルの扱いをされることがとても悔しかった。
そういう経験がある人には
苦い思い出が走馬灯のように駆け巡る一冊。
海外で生活する人はこれが毎日か…
私なんて、PCとスマホを切れば日本語漬けに戻れて
日本語の本も読み放題だから、やっぱり精神的な楽さが違う。

英語が上手になったとはあまり思わないけれど、
図々しさは進歩した。
「はい?私の英語がわからない?頭の回転あげたら?
LやRの発音がおかしくても、文章から単語は推測できるでしょ?
こちとら日本人で、英語はあくまでも第二言語
見える?黒い髪と黒い目!」と思って英語を話せるようになった。
英語の発音テストをしているわけではなく、
英語を使って伝えたいことがあるだけなのだから
怯むのはここではない!と思っている。

 

もちろん、英語で愚痴るのは日常茶飯事なので
ロンドンのパルに「メイの怒ったときの英語のスピード、
本当に感心するほど早いし文法も正確だわ~」と言われたこともある。
あら、褒められた。
やっぱり、よく使う英語は上手になるようで…おほほほ。

 

どういう人におすすめか…と聞かれると、
「え~っと…」から先がでてこないけれど、
言語取得に苦しんだ経験がある人や苦しんでいる人には
「あぁ、わかる…」と思いながら読める一冊。 

 


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