ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

海外のパルたちが読む日本人作家

海外のパルたちから「今、読んでいる本は○○」、
というLineやメールをよくもらう。
この頃、日本人作家率が上がっている気がする。
イギリスのパルが「Syusaku Endou "Silence"」を読んでいる、と。
それって…まさか遠藤周作の『沈黙』?!
キリシタン弾圧のあの作品?宗教を考えさせる作品だけれど
日本人とイギリス人では思うところが違うのかしら?と
感想を聞きたいところだけれど、まだ読み始めたばかりらしい。

アメリカのパルは「Yasunari Kawabata "Old capital"」を
友達にプレゼントされたようで読み始めたところらしい。
私、卒論が川端康成だったわ!
「卒論で書く作家の作品は全部読むこと!」と言われ、
必死に全集を読破したものです。
"Old capital"、『古都』ね。
川端作品の中で結構、気に入ったのだけれど
睡眠薬使用中の時期で、ストーリーがおかしいと指摘されていたりする作品。

川端康成の作品でおすすめは?と聞かれると、
つい『片腕』と言ってしまう。
女の人から片腕を借りて帰る男性の話。
川端康成のどこが耽美主義なのかしら?と思っていたけれど、
『片腕』と『眠れる美女』を読んで納得した。
眠れる美女』は睡眠薬で眠らされた若い娘さんの横で
老人たちが眠る、というもの。
性と生がくっついていて、もがき苦しむ様子を描いている。
全く同じ匂いがしたのは中山可穂の『白い薔薇の淵まで』だった。

 

白い薔薇の淵まで (集英社文庫)

白い薔薇の淵まで (集英社文庫)

 

 実は、これを卒論にしたい!と教授に言って、
中山可穂か…」と絶句させた。
でも、川端と相通じるものがある!と力説したはずが、
気づいたら、「それなら、似た川端作品にします」となったっけ。

海外のパルたちに日本人作家を紹介してと言われると、
つい奥田英郎など最近の作家を紹介していたけれど、
意外に近代作家が海外のパルたちに読まれているもよう。