ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

「学力」の経済学

あちこちのブログで見かけ、読みたいと思っていた本をついに読んだ。
本屋でも見たことはあったのに、kindleで。

 

「学力」の経済学

「学力」の経済学

 

 教育を心理学ではなく、データで経済学者の観点から語る、
新しい!!と思ったけれど、
どこかで見た、読んだ…というデータもちらほら。
それでも、驚いたことがいくつかあった。
全国学力調査の結果にアクセスできる研究者はかなり限られている」こと。
この本の著者にはその権利はないようで…
メディアで「低所得の子でも読書をする子は学力が高い」ということを
全国学力調査結果から判明!と話題になっていたとき、
データをつい鵜呑みにする私ですら、
それって、学力が高いから読書が趣味なのでは?趣味が読書で学力向上なの?と
疑問に思った。
そんな素人の私が疑問に思うレベルなんだから、きっと研究者がきちんと
考察してくれるのだろうから、それを私も参考にしよう~と安易に考えていたのに
データにアクセスすらできない?
それって…データのねつ造やりたい放題?
データをとったところが考察した結果なんて…誰が信用するんだ?と思ったり。
国学力テストはすごい金額かけてやっているのに、そんなのあり?と驚いた。
その一方で、南アフリカ政府は労働力調査
家計調査などの政府統計の個票をインターネットで公開し、
世界の研究者に考察してもらっている、なんていう発想は
「賢い~!!」と感心。

ほかにも40人学級を35人学級にしたところで、
差はほとんどないという結果は初めて知った。
こどもたちのクラスを見ていると、薄々勘付いていたけれど。

そして、本書を手に取ろうと思ったきっかけは”家庭の資源”。
(家庭の資源:家庭環境、世帯年収、親の学歴等)
6年の花子のクラスにはきっちりとした階級ができあがっているように見える。
上位の子、普通、危険水域の子と学習レベルが小学校6年生であり、
そして、それは「かなーりの努力をしないと脱することはできない」と
それぞれがわかっている、ということを花子の友達や親の感想として聞き
寒いものを感じた。
その一方で、その差は一体、どの学年で出来上がっているのか?と気になった。
タイミング良いことに、我が家にはいま4年生と2年生のこどもがいるので
聞いてみると、「すでに差は出来上がっている」という話をこどもたちから聞き、
えっ?まだ2年生なのに?と呆然とした。
そして、その話を元小学校教諭(30年以上)の知人にしたところ、
「2年生は学力の差、というより、学習意欲の差でしょうね。
子ども自身の能力より親のかかわり方が大きいと思います。」と言われ、
さらにダメージを受けた。
そして、同じことが本書には書かれていた。
”家庭の資源”、つまりは親の学歴や年収が子どもに及ぼす影響、遺伝、
どういう家庭の資源や遺伝が好ましいか、語るほどでもないですが…。

花子が中学生に来春からなるけれど、通信教育や市販のドリルで
いけるところまでいきたい!とは思うけれど、
教育費の家計に占める平均的な割合もわからなければ、
どの時代にいくらの教育費をかけることが最も効率が良いのか等、
私もつい費用対効果が気になっていた。
それについては本書で書かれていた。
最も費用対効果の高い教育費をかける時期は、ズバリ就学前!
・・・我が家は3人とも終わってた!!
ただし机に向っての勉強以外の非認知能力も重要で…と細かく知りたい人は
本を読んでもらいたい。

そして、何度も議論の種になる
「こどもに人参ぶら下げて勉強をさせること」の是非。
効果的なやり方があり、経済学的立場で是。
ただし、「この成績をとればニンジン」方式よりも
「この本を読めばニンジン」といった直近の具体的目標設定が肝要。
海外のデータが多かったけれど、日本のデータがもっと欲しいところ。