ずっと読みたかった本を図書館で借りた。
ペコロスの母に会いに行く (2012/07/07) 岡野 雄一 商品詳細を見る |
認知症の母と著者の4コマ漫画。
私の祖母も認知症でホームにいるので、読むうちに涙が出てきて、
嗚咽しながら読む羽目になった。
認知症は、ゆっくり荷物を下ろすことなんだなぁと著者は書く、
そこにたどり着くまでの道のりの長さに思いを馳せた。
私の祖母は脳梗塞がきっかけで半身不随になり、
その後、いろいろなことがあって、ホームにいまはいる。
私の存在はあっという間に消えた。私の20数年がほんの数日で…
「メイよ、おばあちゃん!思い出して!!」と何度叫び、頼んだことか。
祖母にはずっと息子たちが中高生のままで、
50過ぎたおじさんはいまだに中学生で、「お弁当を持って行ったか?」と
心配している。
私がホームに行くと、「まきこさん」になる。私の母の名前。
特に、最初のこどもが娘だったこともあり、
私は30年前の母になり、娘が私になった。
残念なことに、私の子どもは母が生んだように二人姉妹ではなく、
女、男、男。
祖母は、「まきこさん!!それ、どこのこ?あんたまさか、よそのこを?!」と
誘拐疑惑を毎回、かけられる。
最初は「私はメイで、この子は私の娘で…」と説明していたけれど
それもいまはやめた。
まきこさんは息子も生んだ、ということにしている。
50を過ぎたおじさんが祖母の中ではいまだに中学生なので、
たまに反抗期がきてお弁当を学校に持っていかなかったり、
試験の心配をしたりしている。
「お腹が空いたら、なんか食べるわよ~」と私が言うと、
「まきこさん、和夫みたいなこと言って~。」と父まで登場してくる、
きっとまだ20代で、子どもが生まれたばかりの父。
ぼけてしまって、かわいそうだと思っていた祖母だけれども、
祖母はもしかして、それなりに幸せなんじゃないだろうかと思うようになった。
ずっと幸せな時間を彷徨っているのだから。
でも、たまにふっと戻るようで、「あら、めいちゃん!」と
名前を読んでくれる。
そのときも、「どこの子?!」と私の連れている子どもたちに驚くけれど。
父が、「この前、めいが来たじゃろ?」と聞いても、いつも「来(く)りゃーせん!」と
祖母は言うらしい。
やっぱり、祖母のところに来ているのは、まきこさんのようだ。
母には「30年前の私は、あんたより細かったわよ、失礼ね!」と言われてますが。
また、こどもたちと祖母に会いに行こうと思った。
多分、まきこさんと呼ばれて、
「また、よその子勝手に連れてきて!」と言われるのだろうけれど。