文通募集しているサイト経由でメールがきた。
「How are you? Can we become friends?」
(元気? 友達になれるかな?)とアラブの男性から。
無視という類のものは好きではないので、
「元気よ~、あなたは?」と返信すると、
彼から長い自己紹介メールが来た。
彼はドイツに住むアラブ人で出身はガザ地区。
かれこれ3年、ドイツにいるけれどもいまだに就労許可が下りず、
家で自宅待機状態。
こどもは5人いたけれども、一人を戦争で亡くし、
安全なところを求めてドイツにやってきた、と。
戦争の影響で、子どもたちは難聴になっていたことを
ドイツに来て知った、と。
こういう話を夫にすると、必ず「嘘くさい」と言われる。
本当かどうかわからんで、というわけだ。
そんなこと小学生ではない私もわかっている。
彼が本当に中年男性で難聴のこどもと心身のバランスを崩した妻を
もつガザ地区出身の男性かどうかはわからないし、
確認しようとは思わない。
渡航費でこれだけ使った云々の話はでたけれども、
「お金を送ってくれ!」とは言われなかった。
お金を送ってくれ、という類のメールの人は長い会話なんて好まない。
単刀直入に「困ってる!金くれ!」です。
お金をくれないかもしれない人との長い会話は、
割に合わないだろう。
彼は私と2時間近くチャットをして、
私が海外の友達に手紙を書いていることを話すと、
「海外には怪しい人がたくさんいるから、気を付けるんだぞ!」と
言われたけれども。
彼と話していて、何度もでてきた、私の知らなかった単語”asylum”。
Asylum:亡命、避難。
子どもを亡くすことは耐えられなくて、全財産を売って亡命したんだ、と。
目指していて、ドイツでビザがなかったために見つかり、
それから今に至るまでドイツに住んでいる。
ガザさえでれば、なんとかなると思っていたけれども、
ビザもなく、職もなく、言葉も通じず、仲間もいない…
毎日家族の世話だけで終わっていく、と。
最近はドイツ政府がガザへの送還を考えているという話を
聞いたとかで(真偽は不明で、調べてもそんなの出てこないけれど)
ますます不安でストレスを感じている彼。
命だけでもあれば違う!とガザを出たけれども、
ドイツでは子どもたちは周囲と同じようにいろんな物を欲しがり、
彼とは違う価値観や文化圏で成長しつつあるらしい。
私のガザへの知識といえば、イスラエルが”報復”といって
攻撃する地域というイメージだったけれども、
ネットで調べれば、でてくる悲惨な、
悲惨すぎて目を背けたくなる情報の数々。
クリミア半島のことで各国は批判をしているけれども、
もっとほかにも目と手を向けなければいけないところはたくさんある。
戦車でもミサイルでもお金でもない、
温かな手を差し出したい。