イギリスの大学で日本文学を勉強中のパルからメッセージがきた。
「How do you think about げさく?」
(げさくをどう思う?)と聞かれましても…
あの木こり?それはげさくではなく、与作、よさく、
Yosakuですから!と答えたら、
文学のげさく、と。
…鎖国文学?げさく…げさく…漢字が全く浮かばないので
漢字を教えて、と言ったら教えてくれた。
「戯作」…げさく、確かに。
っで、戯作文学って、何?とイギリス人から教えてもらいました。
簡単に言うと、江戸時代に流行った町人の雑誌のようなもので、
読本!赤、青、黄色のあれですね!覚えてる~!
黄色本がねぇ…アレですよ、アレ、春画。
(春画:当時の性の教本のようなもの)
イギリスのパルは春画知らないでしょ?と
戯作の名誉挽回とばかりに語ろうと思ったら、
…嘘?!本当?!うわぁ~!私も見たい!と言ったところ、
「日本では問題になるからと春画が展示されてない。」と。
いやいや、それは鎖国時代の話で…と思ったら、本当だった。
春画はポルノか芸術かで、もめていて、
イギリスでは芸術として何度も展示されているのに、
日本では展示されてない。
…もっとダメなのがいっぱいあるだろう!とびっくり。
私は本で春画の世界を知り、一度見てみたい~と思ってますが、
イギリスまで行かなくてはならなかったとは…。
イギリスのパルは大英博物館の近くに住んでいるとかで、
「恥ずかしがり屋のメイのために、
次に行ったときに、カタログもらってきてあげる!」と
言われました。
では、日本の春画がイギリスで展覧され、
そのカタログを日本に逆輸入という形で手に入るので、
「娘が結婚するときに渡せるように大切に保存しとく!」と言うと、
爆笑してました。
春画の正しい使い方かと。
イギリスのパルは戯作が日本文学の中であまりにも無視されていることに
大層、憤りを感じていた。
「私の先生は、江戸幕府も無視するほどに戯作は低俗で価値のないものだった、
と教えているのだけれど、どう思う?」と聞かれた。
どう思う…と言われましても、私自身も戯作に文学的興味は
確かに感じなかった1人ではあるし、
「江戸時代でも町人が文字を読めていたってことか!」というレベルでしか
考えたことがなかった。江戸幕府の統制が及んでいたかどうかは
わからないけれども、
「いつの時代も政府の眼を盗んで一般市民は娯楽を見つけるし、
その娯楽にこそ、その時代の人々の息吹を感じる。」と答えたところ、
「まさにそうよ!だからこそ、戯作にもっと目を向けてほしい!」と
『南総里見八犬伝』(戯作の代表作)ファンの彼女は言っていた。
ポルノか芸術かで日本ではいまだに揺れている春画、
イギリスではかなり研究されているようで、そのことにびっくりした。