アメリカでライターをしているメル友に読んでいたミステリーが
とてつもなく面白くないことを愚痴り、
面白い本はないかしら?と聞いたら、
「最近のliterary sensation(文学の旋風)」と紹介してくれたのが
"Gone Girl".
邦題もそのまま『ゴーン・ガール』。
ある日、妻が失踪し、夫に疑惑の目が向けられる…
というところからストーリーは始まる。女性作家らしい細やかな心理描写、
結婚五年目の倦怠感、こうなるハズではなかった、
というそれぞれの事情も含めて丁寧に描写される。
それなのに、感想は「怖っ!!」としか出てこない。
ジャンルはミステリー?サスペンス?ホラー?
いやいや、サイコ!!
上下巻に別れていて、最初は”お茶漬け”感覚で読んでいた。
「一応、薦められた本には目を通さなくては。さくさくっとね」と
お茶漬けをかきこむように読み進めると、
夫の浮気に若い愛人の存在、失踪した妻の妊娠、
そしてその事実を知らない夫、大量の出血、経済的に困窮する妻の両親と
もう気分はお子様ランチ!
ハンバーガーもエビフライもチキンライスも、
ありとあらゆるものを詰め込みましたよ!というストーリー。
これだけ詰め込むと空中分解して収拾がつかなくなりそうなのに、
意外なほどあっさりとネタ晴らしをされ、
そして、結末を迎える。
まだまだ後ろがこーんなに残っているのに、
こんなところでネタ晴らししてよかったの?と思いながら
読んでいると、線路は続くよ、どこまでもではないけれど
恐怖は続くよ、どこまでも。
ジェットコースターで上りつめたところがネタ晴らし。
そこから急速に降下するわけではなく、また
ガッタンガッタンとゆっくり降下していくことで恐怖倍増。
この結末はさしずめ「ブラックコーヒー」。
濃いブラックコーヒーをシロップもミルクもなしに飲まされたような
「結婚怖い。大人って大変。苦すぎる…」という読後感。
カップルで観に行く映画ではない。
いまのところ今年一番のおすすめ、『ゴーン・ガール』。
アメリカのメル友によると、『ゴーン・ガール』以降、
二番煎じ、三番煎じが続いたらしい。
いや、もうサスペンスもサイコも今年はもういいかも。