ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

忘れられた人

祖母が亡くなったことを手紙でパルたちに伝えた。
祖母が亡くなったと聞いたとき、最初に思ったのは
私が祖母と最後に話したのはいつだったか、だった。
祖母はいつも私を孫のメイではなく、祖母にとっての息子の嫁と
思って会話をしていた。
最後に孫として会話したのはいつだろう。
もっと祖母と会話したかった、ということをパルたちに手紙に書いた。

ペンシルバニアのパルから
「私も祖母で全く同じ状況だったことを思い出した」と手紙がきた。
彼女のおばあちゃんも認知症になり、20年前の世界にいたらしい。
パルは家族の写真を送り続け、壁中に写真を貼ったらしい。

”Excuse me, have we met?"
(すいません、私たち、どこかでお会いしましたっけ?)
とおばあちゃんに言われたのが最後の面会だったらしい。
孫を溺愛してくれたおばあちゃんは、認知症になり
「私の家族の写真に触らないで!」とパルにきつく言ったらしい。
パルには年上のお兄ちゃんがいて、「兄のことは覚えていて
私のことは忘れていたのもショックだった」と。

いま、東北地方にいるアメリカ人のパルも
日本に来る前に祖父を訪れ、「日本に行ってくるから」と
報告したらしい。
「へぇ~、っで、うちの孫はどこ?」と言われたらしい。

きっと認知症の人たちは自分の好きな時代を生きていて
悪意を持って忘れているわけではないと思うし、
わかってはいるけれど、
忘れ去られた人たちの言葉がどれもこれも悲しかった。

大好きだった祖母が、大好きだった祖父が…
「私のことは忘れていたわ」。
このショックは忘れられた人にしかわからないだろうなぁ。

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