ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

才能と開拓者

子どもがピアノを始めて数か月のママさんに
「子どもの才能の有無って、いつわかります?」と聞かれ、
ピアノを習わせて5年以上のママさんと顔を見合わせた。
才能の有無がそんなにすぐにわかるなら、
誰も苦労しないような…。
天才肌の人はごくごく少数で、練習量も大きいと思う。
最強なのはやっぱり、何時間でもピアノを弾ける人、
ピアノを練習することが楽しくて練習が苦ではない人かと。

おもちゃのピアノを与えたら、勝手にCMソングを弾いた!!
なんていう天才エピソードは我が家の子どもたちにはない。
ただ、末っ子の次郎は赤ちゃんのときから花子がピアノを間違えると
ピアノの椅子につかまり立ちしながら、
椅子をバンバン叩いて”下手くそ!!”と怒り、
上手に弾くと、”余は満足じゃ”というように寝ていた。
レッスンについて行っても花子が間違えるとワーワーと
赤ちゃんのときから喃語で怒り、
「合格にしてもいいけれど…次郎くんがダメ出ししてる。」と
先生も次郎の判定を楽しんでいた。

発表会で以前は目立たなかった子がある年を境に
「同一人物?!」と思うほどにうまくなったり、
その逆があったり…
難易度の高い曲をノーミスで弾いているのに心惹かれなかったり、
テンポなどがいまひとつなのに、なんでピアノの音が
こんなにほかの人と違うの?!同じピアノでしょ?!と
心打たれたり…(サインを先にもらっておこうかしら、と思ったほど)
としている私にはピアノの才能を見極める力はない。

そんな私でも、子ども3人を習わせていると、
それぞれの得手不得手がわかってくる。
花子は多少のことは練習でカバーする努力家タイプ、
太郎は人の数倍かけて練習して、やっと普通の人に追いつける。
意外にピアノが長続きするタイプ、
とよく人に言われる、
次郎は三人の中で一番ピアノに向いているようで、
初見でぱっと両手で弾ける。
現在のバイエルのスピードが10人に1人の早さ!と先生に言われている。
このままいけば…と夢広がりそうになるけれど、
このまま順調に進まないことは花子で学習済み。
ピアノは甘くない…。

そして、次郎はどんどんと合格していく。
太郎や花子が発表会で教本をストップしている中、
どんどん合格していった結果…
「先生、次郎が太郎を追い越しそうなんですが!!」と
心配になって、こっそり相談した。
結果、太郎の苦手分野をスキップして、得意分野で速度を上げ、
戻ってじっくり苦手分野をして、
お互いの教本の位置がわからないようにする、という秘策が実行中。

太郎も花子と比べて倍のスピードで教本が進んでいて、
決して遅くないハズ。
兄弟でピアノを習うと、耳で聴いていた分、下の子のほうが
進むペースが速いものなのよ、と先生も以前おっしゃっていた。
そして、花子がついにキレた。

「次郎はずるい!!」と。
最後に生まれて私が切り開いたところを楽に通るばっかりして!!と。
「小学校にしてもピアノにしても!!」まではわかる。
「産道だって!!」と、産道まで。
産道…と、つい夫が笑いそうになっていたのを顔で制した。
これは花子の本気の怒りだから笑ったらだめだ!と。
確かに花子が開拓者で、次郎はその後を進んでいるので楽かも。

花子が特に怒り狂っているのは次郎のピアノ練習時間。
基本的には30分前後なのに、いまは発表会の曲もあって太郎も花子も1時間。
それなのに、次郎は10分程度。
花子が同じ時期には30分以上弾いていたのに!と。
発表会の曲も当然短いし、バイエルもさらさらーっと弾けるので
5回弾いて終わり。(しかも、花子たちのときよりうまい!)
それで合格していき、
隣のおばちゃんに「次郎くんのピアノは音の粒がきれい」なんて褒められ…
ピアノでは努力家タイプの花子、天才肌タイプの次郎にキレた。

ということで、再度こっそり先生に相談。
「次郎はペースよく進んでいますが、練習をあまりしてません。
その上、それで兄弟げんかが勃発して…。」と。
これ、私が先生だったら、「知らんがな。」って思うかも…と思いつつ。
「次郎くんは譜読みがダントツなんですよ!」と言われた。
練習量を増やすなら副教材プラスで、という提案があり、
次郎には副教材がプラスされることになった。
花子も太郎も弾いてない曲いっぱいの本。

練習してもなかなかうまく弾けなかった私には花子の気持ちもよくわかる!
「ピアノ、楽勝~」な次郎、
もうすぐ渡される副教材で次郎も苦しめばいい…とちょっと楽しみ。

聴けば聴くだけ弾くのが楽?それなら…と、目下、太郎の苦手部分や
太郎の次に弾く曲を「バイエルの練習を母さんも…」という風を装い、
私がせっせと弾き、太郎に聴かせている。
この涙ぐましい努力!!
今のところ、全く実ってない…。