帰省中に本屋に行った。
最近は本屋でも本好きの書店員はいないのかしら?と思うことが多い。
作者名を言ってもピンとこない、という書店員さんが多くなり、
なんだかものがなしさを覚えていた。
今回は小2の次郎の本として『ふたりはともだち』を買おうと
書店員さんに『ふたりはともだち』はどのあたりにありますか?と
聞くと、「アーノルド・ローベルですね!…こちらです。」と
作者名もさらっとでて、かつ案内もスマートで、
久しぶりに書店員さんに逢った!!と握手したくなった。
- 作者: アーノルド・ローベル,三木卓
- 出版社/メーカー: 文化出版局
- 発売日: 1972/11/10
- メディア: ハードカバー
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こどもたちもそれぞれに2冊本を選び、
私も一冊。
いろんな本が平積みされている中で表紙に目を奪われ、
パラパラっと見てみると気になって仕方がなかった一冊を購入。
明治天皇と昭憲皇后の時代に宮中に女官として仕えた著者が
在りし日の思い出を語る。
枕草子の清少納言のように、「春はあけぼの…」といった
公家の娘として宮中作法の美しさや高貴な人々と知的な会話を楽しんだことを
書いているのかと思いきや、
結構な勢いで書かれているのが非合理的な宮中作法の数々で、
公家で厳しく躾されてきた公家の娘の私ですら承服しかねるわ…
といった若者らしい批判的な視点が明治という時代においても
若者らしさを感じて平成の私にも面白かった。
あとがきにて、一緒に働いていた(職種や身分が違った)女官たちが
あちこちで発表する明治天皇時代の宮中エピソードに憤懣やるせなくなり、
私が拙いながらも筆を執ったのです!と書かれてあって、
そうか、これは公開反論だったのかと気づいた。
「~さんは命婦だったのから、明治天皇の御歌が置かれている
部屋にすら入ることはできない身分だったのに、どうしてそれを
見たなんて言えるのかしら。」というような上品で静かな批判。
だからといって、筆者が明治天皇や大正天皇を崇拝していたかというと
面白いことにそうでもなく、
明治天皇やその皇后には尊敬と畏怖の念を抱きつつ、
大正天皇は私に言い寄ってきて…という紫式部に言い寄る道長のように描かれ、
大正天皇の皇后はそれを睨んできて…とか
大正天皇の皇后は女官に西洋風のダンスをなよなよとさせたり、
全く明治天皇の時代の宮中とはカラーが違う、と書かれていたり。
大正天皇が妾腹だったことによる視線、無意識なのか低く見ているところを
感じてしまったり。
仕えている皇后(昭憲皇后、明治天皇の皇后)に皇子が生まれなかったことが
はなはだ残念、という記述があちこちにでてきたり、
宮中の中の人間関係が意外に狭いものであることを感じたり。
平成の終わりにこの本を手に取ったということがなんだか感慨深かった。