ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

カルチャーショック

「ちょ…ちょっと待って!理解できない。」
と私が言うことは滅多にない。
理解力はある方だと思うし、伝統や文化にも寛容。

ここ数日、仲良くしているのはタジキスタン出身の30歳の青年。
誠実で、とてもよろしい!
彼は1年ほど韓国で働いていたものの
コロナウイルスの影響で帰国を決意したらしい。

うん、うん、よくある話。
彼にはお姉さんが二人いて、甥っ子が5人もいる。
とてもまじめな青年で、
「メイさんはどうやって夫と知り合いましたか?」と聞いてくる。
いやぁ、そんな照れるわ…なんて話をしていたら
「実は、僕は帰国したら結婚するんです。」
誰と?
「母が用意した花嫁と。」
会ったことは?
「写真を見たことがある。きれいです。」
話したことは?
「まだないんです。僕の国では婚前交渉できません。」
いやいや、誰も婚前交渉聞いてない。
話したこともないの?
それで、結婚するの?
会ってもない人と結婚して初夜?
話が合わなかったら?価値観が違ったら?と聞く私に
「年下のかわいい花嫁でしょ?」と。
ちょ・・・ちょっと待って!理解できない!
「帰国したら会って話すから。」と。
価値観が合わない人だったら?
「話します。」
いや、もっと根本的にあなたと違う人だったら?
「話すでしょうね。」
専業主婦になってほしいけれど、働きたいって奥さんに言われたら?
「働いてもいいよって言う。」
いや、そうではなくて…

おーい!!!!
私の英語は通じているか~~~?と叫びそうになった。
でも、よく考えれば、では、結婚相手に必要なものは
一体、何なのだろうか。
若かりし頃の私は
「愛だよ愛!愛さえあればいいんです!駆け落ち上等!」
と血気盛んに結婚した。
愛が喪失し、離婚したカップルたちも見てきた。
一番必要なのは愛ではなかったのかもしれない。
やっぱり”お金”?とも思ったけれど、
景気不景気に左右され、有望株で高収入の玉の輿婚が
そうではなくなったのも見てきた。
”お金”に惹かれての結婚は、お金がなくなってからの維持が
大変そう。
若かった私は、とにかく”私にとって必要なもの”を基準にしようと思った。
それは私にとっての彼の仕事でも年収でも資格でもなく、
「この人は私の話を永遠と聞いてくれる人」という性格。
話せる相手が結婚の決め手だった私は
話したこともない、価値観がどんな人かもわからない人と結婚する、
という彼は無謀なギャンブラーにしか見えない。
でも、きっとタジキスタンでは離婚なんてないのだろうな。

花嫁の女性に対して不安はないの?と聞くと、
「大丈夫!母がよく知っているから。」
これ、日本人女性が聞いたら10人中9人は「こわっ!!」と
逃げ出すと思うんだけれど…。
そして、それがきっと正解。
でも、そう話す彼がとても幸せそうで、
私の価値観を大きく揺さぶられた。

もう驚きすぎて疲れてしまった私に、
「結婚式の写真をメイに送るから。」
「1年後には僕たちの赤ちゃんの写真も。」と。
繰り返すけれど…一度も会ってないし、写真見ただけの花嫁との話。
なんだろう、この天真爛漫さ。
私が毒されている気分にすらなってきた。
彼の二人のお姉さんもそうやって結婚したらしい。
久しぶりのカルチャーショックを受けた。