ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『パリのすてきなおじさん』

 『プロフェショナル』でいわた書店に置いてあった本。
多分、紹介されなければ読まなかった。
ネットで注文した数冊の中で、なぜかこれだけ一番に届いたので
読むことになった。

パリのすてきなおじさん

パリのすてきなおじさん

  • 作者:金井 真紀
  • 発売日: 2017/10/24
  • メディア: 単行本
 

 

絵がたくさんあるので、字が少なくとても読みやすい。
中1の花子も「字が少ない」と言うほど。半日で気軽に読める軽さ、
なのだけれど、その中に知らなかったことがいくつかあった。
例えば、フランスとアルジェリアの関係、
”隠された子ども”と呼ばれるユダヤ人のこどもたちが
フランスにいたこと!
アルジェリアからのフランスへの引揚者がいたこと、
日本における満州から帰ってきた人たちのように。
パリで出会ったおじさんから話を聞く。
ワインを飲みながらだったり、ふらっと気になって入ったお店でだったり。

読み終わって、私の中での違和感は、”なぜにおじさん?”
いや、これ、”おばさん”バージョンがあってもいいのに。
筆者はおじさんを探すアンテナがあるようで、
蘊蓄のある話をするおじさんを見つけるのがうまいらしい。
本に出てくるおじさんたちは50代以上の人がほとんどなので、
みんなそれぞれ人生がある。
歴史に翻弄された人たちもいる。
それ、でも、”おじさん”である必要あった?と、つい夫に聞くと。
「おばさんに”話を聞かせてほしい”なんて言ったらまず警戒するだろうけれど
おじさんなら、”ええで”と簡単に話してくれるからちゃうか?」と言う。
えっ、おじさんって、そんなに口が軽いの?
誰かに話したくてたまらない人種?
あっ、でも、それなら、そんなおばちゃん、
関西にはアンテナ立てなくても、いっぱいいそうですけれど。
逆に取捨選択が大変なくらいだろう。

『パリのすてきなひとたち』だったら、もっと違和感なく楽しめたのに、
と私自身は思ってしまった。
しかし、なんやかんや言いながら最後まで読んだわけで、
それなりに面白かった。
街の片隅の古本屋やアラブのお菓子屋さんから、
フランスのユダヤ教を語る人にオーダーメイドの服好きな人、
いろんな人の人生をちょこっと覗いた感じ。
中1の花子も「ふつうに面白かった」らしく、
私も読み、そしていま夫が読んでいる。
性別も年齢も超えて読める面白さがあるのかも。
それが”おじさん”の話、っていうところにはやっぱり気になるけれど。
性別ではなく、人生の辛酸を知った人の話っていうのは
やっぱり興味深いのだと思う。