ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

習慣を作る

いま読んでいる途中の本、『予想通りに不合理』が
とても面白い。 

 行動経済学という新しい分野で、人はなぜ、そんな選択をするのか、
その選択は本当に自らの意思なのか、という問いを
実験により検証していく。そしてその検証結果も意外なものばかりで
目から鱗が落ちたり、なるほどと納得させられたり…。

まだ読んでいる途中の本ではあるけれど…
「市場規範と社会規範を混同させてはいけない」ということが
書かれていた。

例えば、保育園に遅刻しないようにと告げていても遅刻する人たちが
一定層いるので、遅刻したら罰金方式にした。
その結果、遅刻する人は減ったかというと、減らなかった。
いままでの”遅刻しないように”と頼むだけの社会規範から
罰金という市場規範を加えた結果、意味はなかった…どころか、
長期的に悪影響がでた。そして、問題は再び罰金をなくしても
親たちは市場規範で動き遅刻の回数も社会規範も元に戻らなかった。
寧ろ、遅刻は増えたという結果に終わる。市場規範も社会規範もなくなったから。

こどもに家事をお手伝い制にしてお小遣いを渡す親がいる。
私はそれは嫌で一度もしたことがない。お風呂洗い20円と1度、渡せば
すべてのことをお金をもらわないとできないようになるのでは?と
思っていた。私は常にこどもにお金を払う立場で、
食事を1日3回作ってもボランティア?それもおかしいのでは?と
思い始める。
つまり、家の中には市場規範を持ち込みたくなかった。
「みんなで家事はしよう」という社会規範でやってきたけれど、
どうやら、これは行動経済学的には正しいということか。

家庭内の市場規範といえば、成績に応じて報奨金のように
お金を渡す親も私が想像していたより多く実在する。
定期テストの合計点だったり、得点だったりで報奨金制度を
設定している。
お金のために勉強するのではなく、自分のために勉強するものなのに
と私はあまり賛同できない。
しかし、「目の前のにんじん」としては有効らしい。

小学生に対しては400円のお金よりも、同額のトロフィーのほうが
大きな効果があったことがわかっています。この実験からも
わかるように、子どもが小さいうちは、トロフィーのように
こどものやる気を刺激するような、お金以外のご褒美を与えるのが
よいでしょう。一方、同じ実験の中でも、中高生以上には
やはりトロフィーよりもお金が効果的だったこともわかっています。
『学力の経済学』

「学力」の経済学

「学力」の経済学

  • 作者:中室 牧子
  • 発売日: 2015/06/18
  • メディア: 単行本(ソフトカバー)
 

 中高生にはマネーか…と、『学力の経済学』を読んだときは愕然とした。
しかし、それに対しては私と夫は反対の立場で、
社会規範に頼ることにした。
「なぜ学ぶか?」について夫が話し始めると、こどもたちは
「またか…」とうんざりとした顔をする。
末っ子の次郎でさえ、言えるようになった。
「我が家は貧しいからでしょ!潤沢な財産も山も土地もない。
親としてこどもに残せるものは”教育”しかない。
お金は奪われるし、なくなる。教育は奪えない、なくならない。」

これまでの実験から学んだように、現金ではある程度のことしかできない。
社会規範こそ、長い目で見たときにちがいを生む力だ。
教師や親や子どもの関心を試験の点数や給料や競争に向けさせる
かわりに、教育の目的や任務や誇りの感覚を吹きこむほうが
いいかもしれない。(中略)向学心はお金では買えない。

『予想通りに不合理』

結局のところ、人をやる気にさせる方法としては、お金に頼るのは
たいていもっとも高くつく。社会規範は安上がりなだけでなく、
より効果的な場合が多い。『予想通りに不合理』

こどもに勉強をさせることへのエネルギーがいまや
私の1日のエネルギーの8割を占めているに違いない!と
思うほどになっている。
いかに気持ちよくこどもたちが勉強するか、
いかに私のエネルギーを少なく、こどもたちに勉強させれるか。
残念ながら、エネルギー対効率がすこぶる悪い。
特に反抗期というセカンドステージの花子は昨日も
アニメ視聴時間5時間を記録していた。
iPadの利点を生かし、視聴制限をかけるか…。
しかし、自由を制限することに私の中でものすごい抵抗がある。
できたら、本人の自覚を促したい。時を待つ…の結果が
アニメ視聴5時間。ちなみに最高は8時間。
瞬間湯沸かし器3秒前になりながら、花子と相談。
お互いに無駄なエネルギーを使わずにいこうではないかということで
2日間ずつの学習計画を立てた。
午前と午後に分けて、2時間ずつ。その学習が終わってからiPad
その結果、どうなったか。
毎朝9時起きだった花子が朝7時に起きて午前の学習計画を
ものすごい集中力でやっつける。
その後、のんびりアニメ。
そして、11時ごろには「先に午後の分も片付ける」と午後の
計画も手を付ける。
私が見積もった学習時間より早く勉強を終わらせ、
勉強時間が予想より早く終わった達成感と学習計画を完遂した
達成感に花子は喜び、翌日の学習計画も…と前のめりで学習。
これは正の学習サイクルなのでは?と、私も達成感。

『予想通りに不合理』の中で、1度したことはアンカー(錨)となり、
次に繰り返すことを容易にし、そして、それを繰り返すことで
習慣になっていくということが書かれている。
私もそう思う。だからこそ、最初のちょっとした言動にも
注意を払わなければならないし、これくらいなら?という思いが
悪いことへと発展することを許す一歩となる。
逆に小さな学習習慣がアンカー(錨)となり、
大きな習慣を生むのだと信じている。