「ジャケ買いする」と音楽が好きな友人はCDのジャケット写真だけを
見て買うことがあると言っていた。
本の場合はタイトルを見て、「面白そう」と思ったら
開いて数行読んで、自分の好みかどうかを確認する。
ネットで買う場合はレビューも大いに参考にする。
しかし、このコロナウイルスで本屋に行くこともできなくなった。
どんな本が読みたいのかもわからなくなってきた。
そんなとき、単語だけで検索をかけて引っかかった本。
作家のごちそう、きっと東京の名店や高級店がずらずらと並び、
「そんなところへ食べに行ける状況ではないのよね」と
コロナウイルスのいま、憂鬱な気持ちになるのだろうと
いうのが一番の理由で読む気がしなかった。
しかし、緊急事態宣言も解除され、なんだか気分だけちょっと前進。
ここで一気に緩んでは元通りになる!なんて言われているけれど、
ごちそうの本を読む気にもなった。
2,3か月後には高級店に行こうと思えば行ける…
かもしれない。
紹介されている作家たちは太宰、芥川、夏目漱石に森鴎外、
川端もいれば岡本かの子も正岡子規も宮沢賢治もいる。
この本を読めば、全国の津々浦々に訪れたい名店、高級店、
老舗の和菓子屋のリストが私の手帳にできるかもしれない、
と思っていた。
読み終えた今、無性に食べたいのは湯豆腐、羊羹、塩鮭に
香の物といった和食の質素なもの。
いや、これ我が家の冷蔵庫に全部あるわ…。
本には確かに作家が通い詰めたお店も出てくる。
15日間、同じものだけを注文した、なんていう話を読むと
そのこだわりはいまだとアスペルガー?と思う作家もいた。
多くの作家が文章にこだわるように、食にもこだわり、
自炊に意外にこだわる…とはいっても何時間もかかる
手の込んだ煮物を作ったというよりもほうれん草の胡麻和えに
湯豆腐レベル。
でも、そのおいしそうなこと…。
今日の夕飯は絶対に湯豆腐!香の物。納豆にお味噌汁。
和食が食べたくなる一冊。