ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『少女たちの明治維新』

岩倉使節団とともにアメリカへ渡った日本人女性がいて、
その中には津田塾大学を創設した津田梅子がいる、
これが私の知っている津田梅子のすべてだった。

津田梅子とともにアメリカへ送られた5人の少女たちが
みんな俗にいう逆賊だった。
祖母が「西郷隆盛は逆賊」」と語っていた以外で、
逆賊という言葉を久しぶりに思い出したのがこの本。
『少女たちの明治維新』 

 明治政府の逆賊に当たる家々の娘たち、
つまり日本では出世を望めない人々がこどもに一縷の望みを
託したともいえる。
そして5人の少女が日本を立ち、津田梅子を含む3人は10年以上を
アメリカで過ごす。
海外の作家によって書かれた日本の歴史本といえば、
それぞれの国の価値観や伝統で書かれていて、往々にして
日本人が読むと違和感があったり、異議を申し立てたくなるもの。
しかし、この本にはそういった違和感がなかった。
それは日本もアメリカもすでに同じ価値観になっているのか、
作家が日本文化をきちんと理解しているからか。
(作家の夫は日本人)

この本、結構、読む人によって感じるところが違う本だろうと
思う。海外の読者のレビューを読んでも、
明治という時代や戊辰戦争の歴史部分に魅力を感じた人、
明治の時代の日本女性の役割や立場、結婚に興味を持った人、
日本人女性がアメリカで教育されたことが興味深かった人、
など、千差万別。
私が最も興味を持って読んだのは、「教育を受けた時代」。
自我のできた10歳くらいでアメリカへ渡った人と
津田梅子のように年端もいかない6歳で渡米、
そこから10年をアメリカで過ごせば、思想も言語も
アメリカ人で、外見と国籍だけ日本人…。
だから、彼女は日本に戻ってからも英語が一番使いやすい言語。
皇后陛下に会うときに父がいないと意思疎通が不安…といつまでも
手紙に書くほど。
津田梅子が帰国してからも日本に馴染めないさまは
読んでいて苦しくなる時もあるほど。

幼児期、というよりも学童期に受ける言語や文化、
教育の大きさをしみじみと感じた。