ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

演奏がうまいとは

NHKオンデマンドでイツァークの
ドキュメンタリーを見た。

イツァークといえばシンドラーのリスト、程度にしか
知らなかった私。
いまひとつだったら、さっさと視聴を辞めようと思いながら
見始めたのに、気づくとバイオリンの音色に心を奪われ
最後まで見た。
イツァークの交友関係がすごい!
教育者としても立派だとかイスラエル出身でアウシュビッツへの
思い…などいろいろと盛りだくさんだったけれど、
もっとバイオリン聴かせて!と思ったほど
耳に心地よいバイオリンだった。

夫が「これはデイビッドではないね。」と別の部屋から
やってきて言ってびっくり。
ベッカムではないデイビッド、
私のお気に入りのバイオリニスト、デイビッド・ギャレット。
バイオリンの音色でわかるとは。
彼のバイオリンとは全然違うイツァークのバイオリン。

イツァークが楽器がうまい人というのは自分の思いを
楽器に乗せることができる人だと語っていた。
なるほど、演奏者からしたら、そういう人がうまい人なのか。

私はクラシックを専門に学んだことはないし、
絶対音感もなければ、ミスタッチに気づくこともほぼない。
そういう私には、音楽のレベルはほぼ3種類。
すごくうまい、凡人、すごく下手。
私の中でのすごくうまいはミスタッチの回数などではなく
心の琴線に触れる演奏ができる人で、
どこかのコンクールの金賞をとっているのに「うまい…の?」と
思ってしまう演奏者もいるし、
コンクールに参加すらしたことがないピアノ教室の
生徒なのに、「彼女がピアノを弾くと、蛍光灯がシャンデリアに
見えて、光がキラキラ降ってくるよう!!!」と
毎回、感動してしまうような演奏をする子もいる。
逆に「ノーミスで機械が引いているようで、
音色に機微も情緒もない…」と思う演奏をする
プロの人もたくさんいる。

夫もクラシックには詳しくないけれど、
「このバイオリニストは上手~」と一緒にイツァークの
バイオリンを気付くと立ち止まって聴いていた。
イツァークの親が学校以外ではほぼバイオリンを弾かせていた、
なんていう話を聞いても、
「素人の親でも才能に気づくし、これは練習させるわ!」と
鼻息荒く語ってしまった。

しかし、なんでバイオリンなんだろう。
バイオリンは成長により大きさも変わっていくので
楽器をどんどん買い替える必要があるし、レッスン料金も
ピアノより高い。先生も少ない…というのが日本の現状。
ユダヤ人はこどもにバイオリンを習わせるし、
ユダヤ人にバイオリニストが多いのは持ち運べる楽器だからさ。」
と、イツァークが語り、
ユダヤ人の歴史に改めて気づかされた。

「ピアノなんて、鍵盤を押せば正しい音が出る」と
ピアノをさも簡単に弾けるかのように天才バイオリニストには
言われてしまったけれど…
いやいや、なかなか苦戦してます…と
我が家の3人兄弟を見ていると思う。