ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

訳しにくさと都市伝説

そのときは、聞き流していた言葉を後になって、
あれ?と思うことが多々ある。

例えば、数日前にインディアナのパルからの
メッセージに書いてあった、
I always knew she was an exceptional science mind!
(彼女には例外的なscience mindがあると思っていたわ)

science mind、という言葉も日本語に訳しにくい。
ひとつひとつは簡単。
science:理科、科学 (化学はChemistry)
mind:こころ

でも、science mindを”科学のこころ”と訳すと
日本語としてものすごく変。
Google翻訳では”科学のこころ”と変換されていたけれど。
(翻訳とは認めない、これはただの変換…)

mindをつい”心”と訳してしまいがちだけれど、
日本語でいうところの、心より頭に近い気がする。
頭というよりも脳。
覚えておくわ!忘れないわ!というようなとき、
何度となくアメリカのパルたちから聞いたのは
”I'll keep it in mind." (忘れないでおく)
keep in mind:覚えておく

心に留めておくわ、というレベルの頼りなさではなく、
きっちり覚えておくときにも使うようで、
「忘れないでよ!!」とつい念押ししたときも
出てきたのは”keep in my mind"だったので、
しっかり覚えるときでもmindなのね~と思った。
日本語としては、「頭に叩き込んだわ!」と言いたくなるので
head(頭) や brain(脳)なんていう単語がでてくるのかと
思ってしまうけれど。
英語のmindは日本語の心よりも、もっと脳に近い言葉なのだろうと
思う。
だから、science mindも理系脳、なんていう訳が近い気がする。

そして、もう一つ、mindを”こころ”と訳せない
メッセージがあった。

"letting her study at the level HER mind is at, "
(彼女のmindのレベルがどこにあるかで、勉強をさせている)

このmindの適切な日本語訳は、もちろん心ではないし、
脳でもないし、頭でもない。
ここは”知性”というような日本語がぴったりくる。
「彼女の知的レベルに合わせて勉強させている」と訳すと
日本語としてとても自然だと思う。

"letting her study at the level HER mind is at,"

なぜletではなくlettingなのだろう、とロンドンのパルに聞くと、
「現在進行形だから」と言われた。
あぁ~!確かに!
「現在、勉強させている」からか!

英語と日本語の言葉の違いや訳しにくさをロンドンのパルと
話していた時に、彼女は「日本語の”先生”も英語とは違う」、
と言う。
日本語でいうところの”先生”って、
英語の”先生”より、もっと深い意味があるように思う、と。

先生…はどうかわからないけれど、
実は、先日、初めて”教育者”という言葉を私が使った。
「彼は本当に素晴らしい教育者だった!」と。
自分で言ってから初めて気づいた。
これ、私の中での最上級の誉め言葉なんだと。
正直者なので、いままで使ったことがなかったけれど。

ロンドンのパルに「先生」と「教育者」の違いを聞かれた。
先生は…正直、だれでもなれる。
学生がしている場合もあるし、免許もいらないときもある。
各種議員さんたちも”先生”と呼ばれる。
しばしば、侮蔑の意味が含まれる。
(先生といわれるほどの馬鹿でなし)

教育者は、こころがある、熱意がある、情熱がある、
他者を感化させるものがある、
しばしば、都市伝説のようになっている。

熱く語った私にロンドンのパルが言った。

"I understand that difference.
Teacher is a job, educator is a passion."
(違いがわかったわ。先生は仕事、教育者は情熱ね。)

もしくは、都市伝説。