ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『つまづきやすい日本語』

NHKの『プロフェッショナル』で見て以来、
気になっていた辞書編纂者の飯間浩明さんの本を読んだ。
ちなみに彼の携わっている辞書は『三省堂国語辞典』。
私と娘の花子は新明解国語辞典派。
なぜか末っ子の次郎は角川必携国語辞典。
でも、小学校に国語辞典を持っていく、というときは
三省堂の国語辞典。
もしかして、いろいろと国語辞典についてわかってる?と
感心したくなるチョイス。

そんな飯間浩明著の『つまづきやすい日本語』を読んだ。

つまずきやすい日本語 NHK出版 学びのきほん

さすが辞書編纂者とうなったのは、
依存の読み方。
「いそん」という読み方も「いぞん」と共存していたことを知る。
それもNHKのアクセント辞典では1998年の版から
「イゾン」という濁音も許容し、2006年版には「イゾン」が
見出しになったという話などは全く知らなかった。

また、三省堂国語辞典は「的を得る」の「得る」は「時宜を得る」
「要領を得る」などの「得る」と同じで、「うまく捉える」
という意味があるため、「的を得る」も不自然な表現ではない、
と「的を得る」を誤りとする記述を2014年に削った、と。
これも知らなかった…。

そして、言葉の乱れにうるさくなったのも戦後の「言文一致体」が
普及し、話しことばが書きことばの手本とされるようになり、
書きことばの乱れが批判されるようになった、と。
それまでは書き言葉と話し言葉には乖離があり、
話し言葉はどんどん変化すれども書きことばは変化しなかったため
問題が起きなかっただけ、という話など
とても興味深かった。

というところは、さすが辞書編纂者!と思いながら読んだけれど、
これは”言葉”の本、というよりも、
コミュニケーションの本ではないのか、と思うほどに
他者とのコミュニケーションへの寛容さについて書かれていた。

自分の言語感覚だけが正しいと思っていると、異なる世代から
指摘を受けても、それが「世代間ギャップのサイン」である
とは気づかないものです。世代が違えば、ことばの受け取り
方も変わるということを、いつも注意しておくことが必要
p490

著者が学生に「結構です」と話すと、”冷たい”と受け止める
学生が多いことに著者が驚いたことに端を発する。
私自身も「結構です」には冷たく感じる世代、と若さアピール
私の習っているペン字の先生は御年70過ぎだと思われるけれど、
清書に書かれる言葉は「結構です」が誉め言葉だと
最近、わかった。
年代により好む言葉もきっと違うのだろうと思う。

話を伝える工夫を考えるためには、まずその準備段階として、
「自分のことばは相手に伝わらないかもしれない」という
危機意識を持つ必要があります。「自分の話し方はこれで
十分だ。誤解する相手のほうが悪い」と考えているうちは、
伝え方はうまくならないでしょう。 p783

反省しようと思います。。。

読書についても書かれていた。

交際範囲の広い人でも、普段じっくりと話ができる人は
限られています。その限界を超える方法が読書です。p278

交際範囲の狭い私も読書をしようとかと。