ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

発表会


ピアノの発表会が終わった。
今年はちょっと余裕かも…と思うとこうなるのね…
という素晴らしい当日演奏になった。
演奏順に報告すると、
1か月前には「仕上がっている!」と言われていた次郎、
だんだん崩れ始めてきた。
早く仕上がるとなぜか崩れていく…はピアノや楽器演奏あるあるかと。
完成度を高めていく段階で本番を迎えるのが実は一番
上手に本番で演奏できる。
次郎の演奏、途中で止まった…。
本番に演奏が止まることはいまだかつてなかったのに!
かかりつけ医に私の脈はよく飛んでいる、と言われた。
期外性収縮というもので、問題ないとは言われているけれど、
次郎のピアノ演奏が止まった時、私の脈は確実に止まった…。

そして、太郎はまさかのノーミス演奏!
いまだかつてなかったかも…。
ゆったりとしたピアノ曲で、ゆったりと身を任せ…
なんてことはできず、太郎の苦手箇所では手に汗握り、
前のめりで「ラ!低いラ!」と練習のときのように
叫びそうになるのを耐えつつ演奏終了。

最後を飾るのは本番に強いといわれる花子。
出だしからオクターブ違った…。
終わったよ…と無になってしまった。
「上手に弾けたらご馳走食べに連れて行ってもらいなさいね」と
ピアノの先生が前日に言っていたけれど、
「あら、お茶漬けの人」と花子は呼ばれていた。

今回はいつもとは違い大きなホールで、
家を買えるような「触れるだけでもありがたいわよ!」
と先生に言われるようなピアノでの演奏だったけれど、
いままでのあちこちのピアノとも違い、
ホールの音響もあり、「弾きにくかった!!」と
こどもたちが言っていた。
ヤマハだったら完璧な演奏ができたのにとでも言うかのように。
決して、そんなことはないですから…。

数週間前、ピアノの先生のお母さまが亡くなられた。
10年以上前は私もよく先生宅でお会いしては話をしていた。
我が家のこどもたちはお下がりもたくさんいただいた。
若いママさんだと思われないようにと
張りつめて花子のしつけをしていた私は
先生のお母さまに「花子ちゃんの目はキラキラだから
それだけでどんな毎日かがわかるわ。大丈夫よ。」と
言われた。
幼稚園教諭をしていた先生のお母さまも自分のこどもには
ついきびしくしてしまったことや
幼稚園教諭時代のこどもたちを見て、目がすべてを語るわ、
なんていう話を聞いたことを懐かしく思い出した。
こどもがしんどいのかな?おもしろいのかな?とわからなくなるとき
目をしっかり見ようと思ったのは先生のお母さんの影響が
大きいと思う。
こどものピアノの上達に悩んだとき、
練習量から当然なのに、
「やめないこと。続けることよ。才能があっても
辞めていく子たちがたくさんいる。」とおっしゃっていたのも
とても印象的だった。
「私にはあんなにヒステリックに練習させといて!!」
と先生は言っていたけれど、とても穏やかなお母さまだった。

発表会はアベ・マリアで始まり、アメージング・グレースも
あり、曲名はわからないけれど、お母様が好きだった曲を
先生が演奏し…きっと客席のどこかで見ているのだろうなぁ、
幸せだろうなぁ、音楽に送られて、と思った。
こどもたちには私が危篤になったら、
今回の発表会の曲でいいから、ひたすら弾くように!と
厳命しておいた。
「低いラだって!!」「止まらないでー!!」
「ペダルにごってるー!!」となかなか死ねないかも。

最期の言葉は、「もっと練習しなさい」になりそう。