久しぶりに一気に読んだ一冊。
『キリン解剖記』
キリンの解剖がしたい!とキリンの研究者になることを志し、
日本で一番キリンを解剖した(だろう)キリンの研究者。
哺乳類の頸椎は7つ、という定説がある、ということを
この本で知った。
人間の頸椎もキリンの頸椎も7つ?ということはクジラも?
それなのにあの首の動きは?長さは?という疑問から始まり、
8つ目の首の骨、8個目の頸椎を見つける。
著者のめくるめくサクセスストーリー…なんてものはない。
「キリンの研究がしたい」と言っては、
「うちの研究室ではやってない」と何度も言われ、
ようやく「キリンの研究できるよ」と言う先生に出会う。
そして、キリンの解剖をついにできるようになったとき、
完璧な予習で完璧な解剖…とは全くいかない。
その悔しさには生物への尊厳に溢れていた。
終始、本の中に流れているのは「キリンが大好き!キリンが楽しい!」
というとても肯定的な思い。
なぜにキリン?という疑問も「20年ほどキリンが大好きだったから、
きっとこれからも好きだろう」というようなもので、
そうか、そういう考え方もあるのか、と思った。
キリンの第一人者はいない、らしい。
だから、どのような道をいけばいい、という道もない。
彼女(作者は女性)が切り拓いた道がそのルートになる…
なんだか、とてもかっこいいけれど
ロールモデルがいない大変さはたくさんあるだろうなぁ。
良くも悪くも気楽に読める一冊になっていた。