ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『赤と青のガウン』

彬子女王のオックスフォード留学記、ではあるけれど、
とても興味深い内容となっている。
そして、人柄がかなり庶民的で親しみがもてる…
けれど、さすが皇室の方!と思う箇所もあちこちにある。

例えば、側衛が日本では必ずついていて、
オックスフォードで初めて一人になった、という箇所。
イギリスには側衛つかないのか!?と衝撃を受けた。

オックスフォード留学に際し、当時の皇太子殿下と皇太子妃殿下
(つまりいまの天皇皇后両陛下)を一人で訪問するときは
”初めて”だったので緊張した、と。
又従妹の関係にあって、同じ東京に住んでいて、
1人で訪問するのが初めて…というところに心の距離の遠さを感じた。

日本の家族から届けられる月に1度の定期便に懐かしくなったり、
嬉しく思ったり…その中にサプライズとしてもこもこの靴下や
アイマスクなどが入っていたりしたらしい。
入れてくれたのは”侍女さん”。
侍女?!
まだいたのか”侍女”?!とサプライズよりそっちにびっくり。
そうか、お手伝いさんでもねえやさんでも家政婦さんでもない、
”侍女”なのか…と急にタイムスリップした気分になった。

彬子女王のお母様といえば、麻生元首相の妹君で、
家族のごたごたが週刊誌をにぎわせていたこともあったけれど…
まぁ、週刊誌のいうことは、占いと同じで当たるも八卦当たらぬも八卦
くらいに聞き流していた。
本書で、”母”のことは、多分、一度も出てこない!
祖母はでてくるし、お父様への親愛や敬慕の情は溢れんばかりなのに
一度も書かれない”お母様”に、根の深さを見た気がした。
私が読んだ本は文庫本で、加筆修正もできたはずだけれど…
そうか、加筆もしないのか、いまも”お母様”は登場せずか…と
いう家族問題にも親近感を覚える。
まぁ、どこにでもある…いろいろね…。

エリザベス女王ティータイムにお呼ばれした話もでてくる。
宮家や日本大使館経由で立派な服を用意してもらう…のかと思えば、
”持ってきた中で一番いいワンピース”…。
いいの?それで?と、そこにも驚き、
エリザベス女王の部屋にはコーギーがたくさんいて走り回っていた
という。
コーギー…しつけなってないじゃん!と思ってしまった。
イギリス王室はコーギーを室内飼いなのか、という発見があった。

きっと彬子女王にとってはなんてことはない日常の切り抜きなのだろうけれど
イギリス留学記以上に彼女の生活が興味深かった。
いかに留学して語学に苦しめられたか…
そんな本は掃いて捨てるほどあるけれど、皇室の方の留学でも
護衛もつかず、自炊をして、家族問題もあって…というところが
とても親近感を覚えると同時に興味深かった。

エリザベス女王、ジョー・プライス、ドナルド・キーン
彬子女王が出会った、話した多くの有名人たちが
すでに”お隠れあそばしている”いま、
彼らと会ったり話したという記述に私は羨ましくなった。