ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『でんでんむしのかなしみ』

小学校での図書ボランティアとしてする読み聞かせ、
最初はネットで読み聞かせにおすすめの絵本をメモして
近くの市立図書館で借りたりしていたけれど、
そろそろ40冊以上の本を読み聞かせしてきた。

最近は図書室や図書館で「これ!」と私が気に入った絵本を
読むことが多い。
低学年が多いので、低学年受けしそうな絵本を選ぶことが多いけれど
久しぶりに学年を選ばない絵本を読んだ。

 

 

でんでんむしのかなしみ

でんでんむしのかなしみ

 

 『ごんぎつね』で有名な新見南吉だけれど、低学年は
『ごんぎつね』も知らなかった…。
私も初めて手に取ったこの絵本、なんだか大人の私の心も揺さぶった。
ある日、でんでんむしが自分の殻には悲しみがいっぱいつまっていて
もう生きていけない、と別のでんでんむしに相談する。
「僕の殻にも悲しみはつまってる」と別のでんでんむしも答え、
いろんなでんでんむしに聞いても、みんな答えは同じ。
それぞれに殻に悲しみがつまっている。

みんなそれぞれに問題を抱えている、
そう思うことが多い現在の私。
あぁ、そうだ、みんな悲しみを抱えながら生きているんだ、と
なんだかすとんと胸に落ちた。
救いのない『ごんぎつね』といい、この『でんでんむしのかなしみ』といい、
新見南吉の描く児童文学は”こども”への文学なのに
とても厳しい。ハッピーエンドなんかない。
これが現実だ!と見せ付けるような物語ばかりだけれど、
それは、こどもをまた別の人格として認めていたっていうことなのだろうなと
ふと思った。
面白い、笑える、楽しいだけの絵本を読み聞かせて
こどもたちの楽しい読書への入り口に、と思っていたけれど
私は知らず知らず、子どもたちの感受性を低く扱いすぎたのかもしれない、と
『でんでんむしのかなしみ』を図書室で初めて読んだときに思った。

れっきとした考える人格であり、鋭い感受性をもつこどもたちに
『でんでんむしのかなしみ』を読んだ。
いつものように低学年ばかりだったので、やっぱりむずかしすぎる?と
思いながら読んだけれど、意外に反応は悪くなかった。
それぞれに何か考えたのか、とても静かだった。
いまはなにもわからなくても、感じなくても、
ふとしたときに思い出す、
『でんでんむしのかなしみ』はそういう一冊だと思う。

 

にほんブログ村 その他生活ブログ 手紙・はがきへ
にほんブログ村