ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『三日月が円くなるまで』

 「今読んでいる本は?」とイギリスのパルに聞かれた。
先週、先々週は科学系の本を読んでいたけれど、
ちょっと休憩で時代小説。

時代小説は、祖母が好きだった平岩弓枝
母が好きだった山本周五郎たちの時代小説が特に好き。
大人になり、時代小説から遠ざかっていたけれど、
一気に読むようになったのは宇江佐真理
彼女の髪結い伊三次シリーズは夢中になって読んだ。 

幻の声 (文春文庫)

幻の声 (文春文庫)

 

彼女の時代小説には時代劇にでてくる
蕎麦屋の屋台がひょろっとでてきそうなそんな雰囲気がある。
一緒に江戸を歩いているような気分になる。
googleマップよりもわかりやすく江戸の地図が物語の中で
くっきりを描かれている。
そして、白黒つけられない世界がまたいい…。
勧善懲悪ではないんだよね、人生は続くのさ、と
物知り顔で語りたくなる。
残念ながら、鬼籍に入り、新しい本はもう読めない…と
思っていたのに、kindleのunlimitedで宇江佐真理を発見。
需要があるのか?と失礼ながら思ってしまった。

彼女の本は全部読んだ!つもりになっていたけれど、
この本は読んでいなかった~!と気づき、読んだ本。
『三日月が円くなるまで』

 赤穂浪士よろしく主君の仇を打つ!無念を晴らす!と
勢いづく同僚の助太刀をするようにと父に言われた武士の話。
いや、そんなに悔しくもないしさ、
そこに命かけるほどでもないしさ、
やっぱりほどほどでいいんだけれど…というまるで現代人の武士。
しかし、そこは時代劇。
でてくる岡っ引きや僧侶、町娘などが時代小説の世界に
颯爽と連れて行ってくれる。

世の中の不条理、気づけば流されてしまって居場所がなくなり、
頑張ってみたはずなのに空回りする。
そういうものだよね、とうなづきながら読んでしまった。