After my grandpa died, my mom started finding pennies
all over the place.
(祖父が死んでから、母は小銭をあちこちで見つけ始めた)
という話がペンシルバニアのパルからきた手紙に書かれていた。
母は祖父が亡くなってから小銭をよく見つけるようになり、
「私の死後はあなたたちに私が小銭を送る」と言っていた通り、
母が死んでから私はあちこちで小銭を見つける、と。
pennie(ペニー硬貨)で思い出すのは母のユーモアのセンス。
長い闘病の末に亡くなり、喪失感などがすごくて
なにも感じられないときもあったけれど
だんだんと母との楽しかった日々を思い出すようになってきたのよ、
と彼女は書いていた。
I hope you have/find something that reminds you
of your grandmother and of the good times you had together,
(あなたもおばあちゃんと一緒にいたときの素敵な思い出を
思い出すなにかがあればいいわね。)
そんな手紙を受け取ったのは祖父母宅から戻ってきてから。
祖母の形見の品としてもらってきた。
祖母は洋裁師だった。
学校に持っていく椅子の足カバーも雑巾も手提げも
結婚式にお呼ばれしたときのよそいきワンピースも
ピアノ発表会のワンピースも
夏祭りの浴衣も高校の文化祭で着た十二単も
手芸クラブで作ったぬいぐるみの数々も
そういえば祖母作だった。(私は型紙通り切っただけ…)
もちろん、私の父や叔父の学生服も。
手芸に関するものはすべて祖母に頼ってきた私、
手芸が得意とはいえないまま、祖母に教わることもないまま。
祖母が使おうと買っていたであろう新品の裁ちばさみで
最初に切ったのは古くなったバスタオル。
ドレスへの道のりは長そうだけれど、
きっとこの裁ちばさみを見るたびに、私はこどもたちに
「母さんのおばあちゃんは洋裁師で…」と話すだろうなぁ。