ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

ロンドンで着物を着た男性

着物を着るとき、結構、勇気がいる。
四季がある日本、少しの先取りは粋だと許されるけれど
遅れた四季を表す着物を着るのは愚の骨頂のように言われる、
無粋な人だと。
もちろん帯の格も重要で、
襟の抜き方も玄人っぽく見えたり、下品に見えたりと
着物の雑誌のように美しい襟を作るのはかなり難しい。
そして、着物初心者が恐れるのは”おせっかいなおばさま”たち。
「あなた、帯が崩れているわよ。」とささっと着崩れを直してくれたり、
「時期が違う」と教えてくれたり…
怖い、怖すぎる。

ロンドンのパルからメッセージがきた。
「パス停に着物をコートのように着た男性がいる」と。
ロンドンで?
また風変わりな…と返信していたら、
「鶴が描かれていて、これって格式高い着物?」と
ロンドンのパルがまたメッセージとともに写真を送ってきた。
その男性がコートのように着ていた着物。

黒留袖だった。 

 ぎゃー!!と日本で叫んでしまった。
それ、結婚式で新郎新婦に近い親族女性だけが
着ることができる礼装なんですけれど!!
帯はもちろん二重太鼓で…って、そこじゃない。
黒留袖はコートにするような着物ではなくて、
その上にコートを羽織って!
着物が汚れるわ~!と悲鳴を上げそうになった。

私がそのとき、ロンドンにいたら、
「ちょっと!これ、礼装なんだけれど!
コートのように着る着物ではないから!」と
着物おせっかいおばさんとして言うに違いない。
でも、ロンドンのパルがいうには、
「とてもご機嫌だった」そうで、「彼は日本文化が好きなんだと思う」と。
「あの着物をコートにするのは私からしても変だけれど…」と。
着物が有効に着られている、と喜ぶべきなのかもね。
黒留袖なんですけれど!!と、やっぱり気になるけれど。

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