ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』

やっと読み終わった本、
『事実はなぜ人の意見を変えられないのか』。

事実はなぜ人の意見を変えられないのか

この本を読むきっかけになったのは花子の担任の先生。
理系なのに”数字”を気にも留めず、
”事実”にも気に留めず、
整合性にも気に留めず…
それでは、あなたの意見を変えるものは一体、なに?!
と思ったことがこの本を読むきっかけになった。

この本を読めば、他者を思い通りにコントロールできる…
なんていう魔法の呪文はやはりなかった。
いくつかすでに実行していることも本書の中にはあり、
私をにんまりさせたりもした。

例えば、”主体性を与える”ということは意欲や満足感を
与えるということ。
自分が関与している、自分がコントロールしている、
と思わせることは「人を行動させるうえで最善の方法になる」、
と書かれている。

娘が魔の2歳児から現在に至るまで、選択肢を2つ提示する、
という方法をやってきた。
この服を着る?-イヤ!
あの服を着る?‐イヤ!
イヤ以外に言える?-イヤ!
みたいな魔の2歳児にも心理学は使えた。
「この服とあっちの服、どっちにする?」と聞くと、
こどもたちもすんなり選んでいた。
”自分が選択した”と思って。
提示された2つの中から選んだことは選択に入るのか?
所詮、こども…と思うなかれ、これは大人にも使える。
というような、心理学関連の本が好きな人なら知っている、
既読感ある話も多少ある。

そのほかにもあの有名な”マシュマロテスト”、
あぁ、やった、やった!
3歳くらいのこどもにマシュマロを前に置き、
食べないでね…と伝え、席を離れたら食べるかどうか。
食べないこどもたちを10年後に調べると、食べた子どもたちより
知能指数などが優れていた、というもの。

本書ではこのマシュマロテストの裏には
こどもが大人をどれだけ信用しているかということも大きな
意味を持つのではないか?という実験についての記述もあり、
実験の前に大人に裏切られる実験をしたこどもとそうではない
こどもでは結果に違いがでることなども書かれていて、
その結果も興味深かった。
マシュマロを待てるこどもは、大人を信用しているこども、
という意味を持つのだなぁ、と。

興味深かったのは、人はネガティブ、脅威を感じるものを
意識的に見ないようにするということ。
何か行動を起こしてほしいとき、例えば、筆者が例に挙げていたのは
飛行機内での安全ビデオ。
恐ろしい、危険な内容を映像化しても効果はあまりないらしい。
なぜなら、人はそれを見ないようにしようとするから。
そういう心理から、いまは踊ったり、歌って、
楽しく見れる機内ビデオになっている、しかも乗客も見る!

この機内ビデオで思い出したのは、免許更新のときの安全ビデオ。
事故現場の映像とナレーション…
毎回、憂鬱でしかなかった。
あのビデオを見て思うこと、「もう車に乗るまい」。
きっとそれも行動抑制としては正しいのかもしれないけれど、
”安全運転をしてほしい”という行動要請としては
心理学的に間違えているのだと思う。飢餓のこどもたちのCMも。

本書を読めば読むほど、結局、他者をコントロールしたり、
意見を変えさせることの難しさに気づく。当然。。。
それなのに他人からの影響を受けずにはいられない、
というこの葛藤!

あなたは他人に影響されるが、それだけではないー
他人もあなたの影響を受けている。
だからこそ、あなたの行動や選択は自身の人生にとって
重要なだけでなく、周囲の人々の言動にも大きな意味を
与えることになるのだ。 p207