ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』

『だれかに、話を聞いてもらったほうがいいんじゃない?』

 

カウンセラーに通うカウンセラーの話。フィクションなのかと
思いながら読んでいたけれど、これは作者の話?!
作者も精神科医
ハリウッドで活躍しているけれど嫌な奴、
70歳の誕生日に自殺しようと考えているうつ病の高齢女性、
末期がんの女性、
結婚目前だと思っていた彼に振られたことが整理できない主人公…。

カウンセリングを通して、自分自身で自分のことを理解する、
その過程は目を背けたくなる。
それぞれの行動の背景を知り、後半はティッシュが手放せない。

精神科医が書き、カウンセリングの様子などが主な物語なので
心理学についてもかなり詳しくなる。
”悲嘆の5段階”のような私でも知っているようなことから
ウルトラクレピダリアニズム(ultracrepidarianism)のような
初めて知る言葉も。
ウルトラクレピダリアニズム:自分の専門外のことについて
意見や助言を述べること。

以前から密かに思っていたことがある。
「女性は父親と同じタイプの人を好きになる」。
これは心理学的にも父親と同じタイプに親しみを感じ、
父親との関係が成功であれば同じようにうまくいくと思い、
失敗であれば違う人なので今度こそ!と思ってしまうらしい。

私の友人たちも父親と同じタイプを結婚相手やパートナーに
選んでいる。「うちの父の亭主関白なところが大嫌いだ」と
あれだけ高校時代に語っていた友人の夫は
「いまどき、こんな亭主関白いる?」と思うような男性。
父親の保守的な思想が嫌だった、と語っていた友人も
「超保守」な男性と結婚している。うちの父と同世代か?と
思うレベルの保守さの。
私はと言えば、人生をなめてる、遊びこそが人生!という
人生を謳歌するタイプだった夫は自分の父親と同じタイプだと思った。
結婚してこどもができたら、「家族を守る」と保守化したことは
想定外だったけれど。

私自身が娘の精神科でのカウンセリングに付き合って
精神科医の問いかけを見たり、
スクールカウンセラー臨床心理士?)のカウンセリングを
数回受けた。(3,4回か4,5回か)
心理学が好きな私は彼らの質問の裏の意味をつい勘ぐったり、
そんな質問の仕方では信頼を得ることはできないぞ、と思ったり、
私も不必要な発言はするまいと最小限の情報提供にとどめたり、
双方に全く歩み寄りがないカウンセリングで
(つまり私との相性が悪かった!)
本書に出てくるカウンセリングには至らなかったけれど、
カウンセラーにもカウンセラーがいるアメリカなら
きっともっと相性の合うカウンセラーに会う確率も
高いのだろうなと思った。

翻訳本で読んだけれど、久しぶりに”翻訳がうまい”と
思える翻訳本だった。
一般書なのに中高生レベルの日本語の翻訳本や
推理小説も興ざめ)
翻訳されているんだかいないんだかのカタカナだらけだったり、
英語はできるのかもしれないけれど、日本語がいまいちだよ!
という翻訳本が多い中、とても自然な日本語だった。

カウンセラーも人間なのね、という当然なことを認識した。