ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

The Mostly True Story of Tanner &Louise

 

 

80過ぎのおばあちゃんと21歳の大学をドロップアウトした若い女性と
カリフォルニアを目指す世代の違う二人のドライブ旅行!

っていうあらすじだと、どこかで読んで買った気がするけれど、
あらすじが思っていたのと全然違う…。

住む場所とお金が必要だった大学をドロップアウトしたばかりの
やる気のない元女子大生が一人暮らしの高齢女性の生活を助けるために
住み込みをすることから始まる。
実はその高齢女性は40年以上前のいまだ見つかっていない宝石強盗の一味で、 
ある晩、突然、「カリフォルニアへ行くわよ!」とスマホも持たないまま
全米のニュースに顔写真が出たりしつつ、二人は旅にでる。

和書も洋書もいろいろと読んできたけれど、
最後の最後まで細部に気を配っていることを感じた物語だった。
残りのページ数に合わせて帳尻を合わせに来たな!みたいなよくある
安直な大団円にはならず。
ただ、METOO運動や今を感じることもあちこちにあるので、
5年後には古く感じるかもしれない?と思ったり、
"Tale as old as time"(昔からある話)で、時代が変わろうとも
変わらないのかもしれない。
”Tale as old as time"として出てきたのは家庭内暴力や夫からの虐待に
苦しむ女性たちの話。80歳の女性が若いころからあって、
そしていまもある…。

男性に迫られた女性がきつくNOを言えなかった、と語る場面がある。
"I thought is I yelled or hit him, 
people would say I was overreacting."
(もし、私が怒鳴ったり、叩いたりしたら、
私がオーバーリアクションだと言われると思った)

「またまたー、ジョークだよ!」
「そんなに本気にするなよ」と男性たちから言われ、
女性たちからも「オーバーすぎる」「過剰反応よ」と言われるのでは?と
恐れて、何も言えず、何もできず、…そして自己嫌悪。

そうか、アメリカもか…と読みながら鼻の奥がツーンときた。
そんな元女子大生に80過ぎのおばあちゃんは「じゃあ、コレ!」と渡すのは
銃なんですけれどね!…さすがアメリカ!
いろんなタイプの女性たちがでてくるけれど、どの女性たちもすごく内面まで
描かれていて、「友達になりたい!」女性のカタログくらい各種、そろっている。
その反面、男性の登場人物は何人いた?と指を折るほど少数、
そして2種類しかいない。いや、3種類?
嫌な奴、まあまあな奴、普通…善人も素敵な人もいないという…。

レンタカー屋で選んだ車に文句を言う高齢女性にドライバーが言う。
"Miss Louise said to get something inconspious."
(ルイーズさんが目立たない車って言ったでしょ。)
”You chose this?"
(選んだのはこれ?)
"Yeah. Every suburban mother in this country owns a gray
Honda Odessye."
(そう。この国の郊外のママたちはグレーのホンダのオデッセイを
持っているから。)

…そうなの?!ホンダのオデッセイなの?
しかも、グレーなの?!と、ちょっと驚いた。
日本車は海外では車名が変わっていることが多く、
知らない車名…と調べると、あぁ!あれか!となることも多い中、
オデッセイはそのままなのか~というところもちょっと驚いた。

女性の友情もなかなか素敵、と思える一冊。48冊目!