ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『ザ・ホエール』

『ザ・ホエール』

死期が近い男性が8年前に捨てた娘との絆を取り戻そうとする話、
というあらすじだけだとよくある映画なのだけれど、
実際は情報過多だった気がする。
処理できないモヤモヤがたくさん残る。

主人公は結婚して妻も娘もいたけれど、8年前に恋に落ちて
妻と娘を”捨てる”、と字幕になっていたけれど、
英語では”left"(去った)だった。どちらでも同じか?
いや、捨てる、と去る、の差は大きいけれど…。
しかも、恋に落ちた相手は”男性”。
実は同性愛者だったと気づいた男性とその家族の苦しみ…。

相手の男性は新興宗教の牧師の息子で、熱心に宗教活動をしていたものの
同性愛ということで入っていた宗教から嫌悪され、教会を去ったものの
自らの育ってきた環境や価値観とのギャップなどもあり亡くなる。
救ってくれるハズの宗教により破滅する…。

パートナーの死から主人公の男性は過食に陥り、自暴自棄になる。
医療も宗教も拒否して。
医療も宗教も拒否する人に”救い”として、
8年前に捨てた娘との絆を取り戻そうとするのだけれど、
さすが映画!なハッピーエンドではなく、
現実的な着地点。
つまり、人は医療も宗教も拒否すれば救いはなしなのか?

これはなんだ、どう受け止めればいいんだ?えぇ?と思っている間に
映画は終わる。スッキリしない結末に宙ぶらりんな登場人物を残して。
私も一緒に取り残された気分…。

家族愛に救いを求めた簡単なお涙頂戴の話に終わらない。
救いがない…と思ってしまった。