ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

自尊心

きっかけは北欧の某国のパルの手紙。
彼女の娘…といっても私より年上で既婚の子持ちが
今度また日本で暮らすことになったわーという話。
彼女(60代)の娘さんは日本人男性と結婚し、こどもがいる。
娘さんは資格で仕事をしている専門職で、
日本では仕事ができない。
資格のいらない仕事をしていた日本人男性が欧州に行く決断をした…
のだと思っていた。
そして、3年ほど暮らしていたけれど、
言語の問題が大きく仕事が見つからず、
日本に戻り就職活動をして見事採用されたので、
娘さんとこどもも日本で一緒に生活する、と。

えっ…娘さんのほうが資格の必要な専門職で
キャリアもあるのに?とつい聞くと、
「仕事を探している間、娘婿の落ち込みがひどく、
彼が幸せならどこででも生活できると娘は言っている」と
欧州のパルは言う。

わからん…金銭的なことだけでいうと、専門職の娘さんが
欧州で働くことが一番安定している&高給だろうし、
資格がいらない仕事を日本でしていて、
英語ではない言語の欧州で仕事が簡単に見つかる、と
私より年上の男性が安直に思っていたとも思えず
「娘が幸せならそれでいい。」というパルの一言がすべてだわ、
とは思いつつ、このモヤモヤはなんだ?
日本人男性の男性が世帯主として大黒柱にならなければ!とか
働いていないと価値がない、という観念で生きているのか?と
消化不良が続いていた。

ロンドンのパルに話すと、
「同じような話はどこにでも転がっている」ようで、
ロンドンのパルの友人カップル(婚約済み)の話をしてくれた。
ほぼ同じ状況で、女性が生活資金を出して10年後、
彼が「きみは僕の自尊心を傷つけた」と言い残して去ったらしい。
・・・すごいな。
ロンドンのパルはその男性に後で聞いたらしい。

When I asked him why, he said
that he should be the breadwinner,
and it damaged his self-esteem that he was reliant on his
girlfriend for their income.
(私が彼に理由を聞くと、彼は僕は稼ぎ手になるべきで、
生活費を彼女に頼ることは自尊心を傷つけたと言った。)

breadwinner: 稼ぎ手  self-esteem:自尊心

でも、なにが私とロンドンのパルにモヤモヤさせるか、
それは”働かなければ価値がない”という固定観念だと思う、
という話になった。

生活のために働く必要はあるけれど、
生活のためのお金がどちらかから入るならば、
もう片方が働かなくても、そこまで自尊心を削られるのか?
動きたいならボランティアもできるだろうし、
家事なんて次から次へと湧き出てくるけれど…
でも、きっとそういう人たちは働くこと、
お金を稼ぐことにこそこそ価値があり、
家事や雑用に価値を見出さないのだろう、と。
そういう人が大黒柱や収入がある側になると、
家事や育児を”たいしたものではないと決めつける”。
そして、自らがフルタイムで働くために
家事をしてくれている人やこどものことをすべて引き受けて
しているパートナーの存在を軽くみるのだろうなぁ、と。

自分の固定観念に自分で首を絞めているだけだわ、と
ロンドンのパルも厳しかったけれど、
私も共感できない。