ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

お気に入りのピアニストのおじいさん

ピアノの発表会で必ずショパンを弾く男の子がいた。
子犬のワルツから始まって、4年ほどずーっとショパン
先生に「どうしてあの男の子はショパンばかりなんですか?」と
つい聞くと、
「彼がショパンを弾きたいのよ。ショパン一筋なの!」と。
ほぉ…そういうものですか、と花子と驚いた。

ショパン…私はあまり好きではない。
いろんなピアニストのショパンを聴いたけれど、
ねちっこいようなうっとうしいような、
これがロマン派です!と言われると、
それなら私はロマン派苦手ってことなのか。
私が平井堅のアルバムを聴いていると、
「聞き続けるにはくどい…」と夫が嫌がるけれど、
私にはそれがショパンだわ~と思っていた。

最近、好んで聴いているピアニストがいる。
彼のショパンなら聴ける。
くどくない!ねちっこい抑揚もない。
体を揺らし、目を閉じて、自分の世界でうっとり弾くショパン
という感じではない。彼の弾くショパンは感情少なめで
格調高い。甘ったるいワインのようなショパンではなく、
ごくごく飲める天然の湧き水のようなあっさりさ。
彼のおかげで私はいままでの遅れを取り戻すかのように
ショパンを聴いていたら、夫や花子にも
「このショパンを弾いているピアニストの名前は?」と
聞かれるようになった。
「こういうショパンのほうが好きかも」と。
そうでしょう、そうでしょう。
このピアニスト、アルバムの写真を見る限りでは結構なおじいさんで…
名前はマウリツィオだったっけ?
そもそもどこの国の人かもわからないわ~と調べてみた。

 

www.youtube.comマウリツィオ・ポリーニ、イタリアのミラノ出身。
wikipediaに書かれていた、
「現役では最も高い評価を受けているピアニストのうちのひとりである」と。
1960年、18歳のとき、ショパンコンクールで審査員の満場一致で
「審査員の中に彼より上手にショパンを弾ける人は果たしているのだろうか」と
審査員長に言わしめたそうです。

ピアノがうまいからといって、すべての人の心を掴むことはできず、
同じ曲でも弾く人によって解釈があるので
聴いていて好き嫌いもある。
ほかの人が絶賛するピアニストが私の耳には全く心地よくなかったり
なにも響かないこともある反面、
卓越してうまい人の音楽はなぜか素人の耳にも
きちんと良さが届くんだなぁと
マウリツィオ・ポリーニショパンを聴いて思った。
花子とずっと「このおじいさん、ピアノうまいわ~」と
ほぼ無名扱いしてました…。

ど素人の私たちでも「うまい」と思わせるピアノ、
さすが世界のマウリツィオ・ポリーニ!!ということで。