どこで読んだのかわからないけれど、見慣れない単語に
目が釘付けになった。
”行旅死亡人”、(こうりょしぼうにん)
初めて見たキーワードだったけれど、
きっと旅先で見つかった身元不明者なんだろうなぁ、
というところまでは想像できた。
では、その行旅死亡人の高齢女性が、
右手指をすべて欠損し、3400万円の現金を残し、
住民票も存在しなかったら?
いやいや、どういうこと?!と思い、つい本を買ってしまった。
『ある行旅死亡人の物語』
ジャンルはルポタージュになるのか?
ノンフィクションなので、情報がどんどん出てくる
ご都合主義はない。
それでも、ぽろぽろとでてくる情報や人脈が
「それで?!」と結末に期待をさせておきながら、
物足りない…。
いや、ここまで調べたのはすごい!
警察も探偵も調べられなかった事実を次々に発見したのだから。
多額の現金を残し、住民票もないまま
風呂ナシアパートで病死した高齢女性。
40年も住み、顔見知りも、よく行く店もない。
(聞き込みしても全くでてこない!という)
彼女の出身地を知る人もいない。
そんな人の人生を考えると、寂寥の念がこみ上げてくる。
昨夕、回覧板を回して「あんたのお父さん、お正月はどうだった?」と
隣家のおばあちゃんに聞かれたり、
いつもお世話になっているおばあちゃんに持って行った帰省土産で
「あなたの故郷のあのお饅頭、おいしいわね~」と言われて
話し込んだり、
かかりつけ医の看護師さんとプロテイン談義や初詣はどこへ行くか、
と地域や故郷や家族談義ばかりしている私には
到底、想像できない。