ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』

表紙から児童書だと思っていた本だけれど、
興味を持ったので読んでみた。
『ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー』 

ぼくはイエローでホワイトで、ちょっとブルー
 

 結論から言うと、児童書ではなかった。
イギリス在住の著者が中学生になった息子の学校生活を通して
イギリス社会を描いたエッセイ。
イギリス在住とはいえ、日本人とアイルランド人の夫婦で、
息子はハーフ。
いや、ダブル。
ハーフ アンド ハーフ…といろんな言い方があるけれど、
まぁ、そんなところ。

海外在住の人たちのブログを読んだこともあるけれど、
これは中流より上だなあ、とか上流階級だなぁと思うような
立派な家に住んでいる。
家だけは中流や上流でも、人種差別などできっちり上流階級入りできるか、
というところはまた別の話なのだろうとは思うけれど。
著者はどうやら中流ではない。
住んでいるところも中流下流が混在しているところ。
小学校はカトリックの良い学校に通ったものの、
中学校は公立の”元底辺高校”に通い、多様性の波をかぶる。
次から次へと容赦のない学校における問題はそのまま社会の縮図で、
息子君の学校生活を通してイギリス社会を知った。

この本を読みながら、一番に思ったことは、
PCって、もはやパソコンの略ではないこと。
ポリティカル・コレクトネスの略で何度も出てきた。
東洋人を意味する”オリエンタル”も今は使用を躊躇する
差別用語のようになっているようで、
その言葉にどんな意味を持たせるかで、すべての言葉が差別用語
なってしまう気がする。

イギリスではかくも教育格差が広がっている、
というのが本書で何度も書かれていたけれど、「それ、日本も一緒」と
読んでいて、何度も思っていた。
どこの国も大きな分断が進んでいる気がする。
どこかの大統領だけのせいではなく、世界全体の雰囲気なのだろうか。