ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

言語と隠れた意識

オランダ在住のドイツ人のパルがいる。
彼女はオランダ人男性と国際結婚をしていて、こどもがいる。
息子たちにいかにドイツ語を話してもらうかが最近の悩みのようで
手紙にもドイツ語をいかに取得するかについて書かれていた。
お母さんがドイツ人でドイツ語を話せばドイツ語も話せるのでは?と
思うけれど、「ドイツ語をオランダ語の文法で話したりする」らしい。
彼女の母、息子君たちの祖母(もちろんドイツ人)に来てもらい
ドイツ語ばかりを2か月聞かせたり、
ドイツに里帰りを2か月ほどしたり…と必死にして息子君がドイツ語を話し始めても
学校が始まれば元の木阿弥らしい。

先日、彼女から「二か国語育児の大変さ」について書かれた長い手紙をもらった。
その中で、彼女の知り合いで日本で子育てをしているポーランド人の
女性(日本人とポーランド人の国際結婚)が、日本の小学校で
「お母さん、もうちょっと日本語で話すようにしてください」と
担任から言われたらしい。
ふーん…と読んでいたら、
ポーランド語禁止って、日本って差別国家なの?!」と彼女は
大層、憤慨していた。

書かれてはいなかったけれど、きっとこどもの日本語がまだ流暢ではなく、
お母さんや家族でポーランド語を使っているから日本語の機会を
もっと増やしてください、というのが担任の先生の思いだろうと思う。
でも、ポーランド人のママさんもドイツ人のパルも
「差別だわ!」と思ったという。

そこにはEUの中でポーランドに対する”貧しい国”という意識が
あるのだと思うんだけれど…とロンドンのパルに話した。
ロンドンのパルも「EUではポーランドは貧しい国というイメージだから」と
言っていた。

そして、担任が「ポーランド語を話さないで」と言うのは
ロンドンのパルが日本に留学した時
「英語を話さないように。留学生同士でつるまないように」と
いわれたのと同じで納得できる、とロンドンのパルは言っていた。
海外留学する人たちが「母語を使わず、現地語を学びなさい」と
言われるのと同じ。

ドイツで親子ともども小学校の先生をしているパルが
「ドイツ語を全く話せないトルコ人移民が公立小学校に増えすぎて
授業以前にマナーも教えなくてはならないし、
そのマナーを教える術もない。ドイツ語を理解できない子たちだから。」と
ランチの時間ですら座って食べられない!と以前、嘆いていた。
そうか、ドイツにはアメリカのようなESLクラスはないのか、と
思ったものだった。
ESL(English Second Language:英語を第二言語とする人たちのクラス)

日本にもESLのような日本語を学ぶクラスのある公立小学校なんて
外国人の多い学校でなければない。
そういう中で、担任の先生がもっと日本語を学んでと願うのは自然で
そこに悪意はなかったと思う。
日本人にとって”ポーランド”が遠い国で
イメージが特にないというのもあると思う。
ドイツのパルは図らずも彼女自身が持っている、
ポーランドは貧しい国で、その言葉を話すなっていうのは差別”という
イメージを私に見せてしまった気がした。

自分では偏見を持っていないつもりでも、話していてドキっと
することがある。
私も先日、「あの人は風見鶏だから。」と友人に言ったとき、
自分でも驚くほど心底、いやなんだなぁと気づいた。
風見鶏は私の中でのかなり強力な侮蔑表現だと気づき、
自分で言ったことに自分で驚いた。
そんな私の娘なのに花子は座右の銘が「長いものには巻かれろ」らしい。
それができたら楽な人生だろうなぁ。。。