ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

"Restart"

"Restart"
対象年齢10才~12歳の児童書。

Restart

Restart

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あらすじは、8年生(つまり日本の中2)のChaseが
自宅の屋根から転落して記憶喪失になる。
それまでは札付きの悪、ただし、フットボールのスターで
あることから大目に見られてきていた。
記憶喪失以降は性格が変わるものの、過去の自分の行いは
ついてまわり…。

これぞ児童書!これよこれ!というような大人が
こどもに読ませたいような完璧な児童書だった。
キスシーンなし!(当然か)
自らの行いを振り返り、いろんな人を巻き込み、
そして成長する…これが児童書よ~!と叫びたくなる児童書。

単語、わかりやすいわ~!
文通で知った単語が結構出てくる。
concussion, hyperpnea, coma
(脳震盪、過呼吸、昏睡)
別の本ではdiabetic, glaucoma
(糖尿病、緑内障
などもでてきて、辞書引かずともわかる!!
手紙の中でアメリカのパルが使ってた!とちょっとうれしかったのに
対象年齢10~12歳の児童書だと知り、ショックを受ける。
そうか、12歳は脳震盪も過呼吸も昏睡も知っているのか…。

面白かった単語は、musclebrain,脳筋(のうきん)か!
脳筋:脳まで筋肉質になっているような人を指す蔑称…
だろうけれど、アルクは「体が強靭だが知性的ではないという含み」
と書いていて、いいのか?大丈夫か?とドキドキした。

ロンドンのパルがweblioの英日辞書は結構違う、
というようなことを以前に言っていたものの
私はいままで発見したことはなかった…が、発見した!
juvie

本の中で悪事をしすぎてjuvieに行く寸前までなる。
ついに恐ろしいjuvieに…となっているので、
日本でいうところの少年院かな?と思いつつ調べると、
weblioでは juvie:ヤンキー
・・・違うと思う!
ほかの辞書サイトでは”少年院”になっていた。

その一方で、わからないまま読み終わった部分もある。
主人公の男の子が「このこは彼女?」と聞かれて
”turned the color of a mature eggplant"
(熟したなすび色に変わった) 
・・・なすび色ですか。
赤面ではなく?赤くなったわけではない、と。
それとも、アメリカのなすびは熟すと赤いのか?と
"mature eggplant"で画像検索をかけて同じ紫色だと知る。

思い出すのは古代のギリシャ詩人、ホメロス
海を”ワインのような濃い色”だと書いたとか。
古代ギリシャでワインは青かったのか、
青色をワイン色と言っていたのか
(緑色の信号を青信号と私たちが言うように)
それとも夕焼けに染まった海が葡萄色だったのか…と謎のままのハズ。

えーっと、なすびの成熟した色ね…
濃い紫でしょ…と調べてみてもわからなかったので
英語では赤面したらなすび色っていうってこと?と
ロンドンのパルに丸投げで聞く。
時差の関係で返信が返ってこないのでわかり次第、追記で。

追記:
ロンドンのパルに「紫色になるって、なんで?」と聞くと、
「恥ずかしすぎたからでしょ?」と。
恥ずかしすぎるとき、紫色になる、と表現することが多いらしい。
・・・知らなかった。
日本では、「顔が紫色になった」なんて描写があったら
喉に何か詰まっているのでは?
なにかまずいことが露見したのか?になるよ、と話すと
普通レベルではなく恥ずかしがっているときは、
どう描写するのかと聞かれた。
「耳たぶまで赤くなった」
「首筋まで赤くなった」
なんていう描写が多い気がする…。
恥ずかしさの描写でも違うんだなぁ~と発見があった。

作者は児童書の有名作家のようで、なるほど納得の
スラングの少なさ!
変な言葉も出てこないし、下品なこともでてこない。
キスシーンもなければ、誰一人死なない!
主人公の成長物語で児童書の鑑!
安心して読める児童書として、推薦できる。

児童書なので当然だけれど、
きっと感情移入は主人公の男のこや周囲の級友たち。
いろんなタイプの子がいて、
私のこども時代は、この子みたいだったな~と
思いながら読むつもりだった。
いや、途中までは感情移入は級友たちやメインキャラクターたち。
途中から保護者にしか感情移入できない。
いじめっこの親の気持ち、
いじめられっこの親の気持ち…
兄をいじめた男の子と仲良くする娘に
「いままで友達を選ぶように言ったことはないけれど…
いまは言うわよ!」とお母さんが言うところとか、
感情移入しすぎて悔し涙が出てくるわ。
児童書、親でも感情移入しちゃう登場人物がいるのね、
ということを学んだ。