イギリスのパルと日本文学の話になった。
なんでも彼女は最近、大学で万葉集と古今和歌集を読んでいるらしい。
「そ…それはまさか日本語で?!」と聞いたところ、
「英語と日本語で読んでいる。」と。
日本でも現代語訳がつくくらいで、そのままでは意味の理解ができないし、
掛詞に枕詞にと解釈がついていないと理解できないほどでして…と話すと、
「イギリス人がChaucerを読むのと同じね。」
Chaucer:チョーサー『カンタベリー物語』って、世界史で習ったなぁ~という
レベルで”騎士道精神の物語”くらいの認識しかない。
チョーサーを語られても全くついていけないので、
私にもわかるくらいのイギリス文学と言えば、やっぱりシェークスピア。
「シェークスピアも現代とは違う英語なの?」と聞いたところ、
シェークスピアはチョーサーよりも後の時代なので、読めることは読める。
「そうね、あなたが十返舎一九を読むくらいな感じ。」と。
・・・江戸の人で、東海道中膝栗毛の作者。
へぇ~、私が十返舎一九読むくらいか~って、読んだことないですから!
彼女は『南総里見八犬伝』を読みたいらしいが、英語翻訳が少なくて…
「読んだことある?」と聞かれた。
ない…。
近世文学としては『源氏物語』はもう何度も読んだわよ!と話すと、
彼女も源氏物語を読んだらしい。
「感想は?」とわくわくで聞くと、「長すぎる!」と。
ええ、おっしゃる通り。
「それに、女性の誰にも共感できない。」と言っていた。
「あの光源氏のひどさったら…西洋の文化的思考では考えられない。」と。
そうだろう、そうだろう。
「あなたは共感できる女性がいるの?」と聞かれまして…各種、考えてみたけれど
ピン!と一人思い出した。
「Rokujyou」でわかったようですが、「どう共感するの?」と聞かれ、
夫に裏切られたら、私も生霊になって殺してしまうかも、
ただし、相手の女性ではなく、私は夫を!と話したら爆笑されました。
地位も名誉もある彼女をないがしろにした光源氏はやっぱりひどい男だと
イギリスの彼女は怒っていた。
彼女は先日、和歌を作ったらしい。
和歌って、あの五七五 七七のアレですか?と聞くと、
「そうよ。」と。
・・・なんのために?と驚いて聞くと、
「今度、大学で歌合せがあるの!」と。
歌合せ?!イギリスで?!
日本の大学でもしたことないわ~。「風流~!!」と日本語でつい言い、
英語では何?と聞いたところ、
「風流はとても訳しにくい日本語のひとつだけれど、
私は風流がなにかをわかってきたつもりよ。」と言われた。
なんとなくでも通じているならよかった。
日本語で説明してと言われても、私がしどろもどろになりそうです。
歌合せが終われば、彼女は一気に日本現代文学を大学で学ぶらしい。
ついに現代文学!私の専攻だわ~!
今度はひるむことなく、「もちろん、読んだことあるわよ!」と言えるハズ。