私が持っている英和辞典には最後のほうにdenotationとconnotationについて
書かれている。
denotation(辞書的意味)
conotation(文化的意味)と訳され、説明されている。
例として”赤とんぼ”が話題に挙げられ、
日本人なら郷愁を感じる童謡を連想する”とんぼ”が、
英語圏では"(Devil's) darning needle"(悪魔の縫い針)という俗称を思い浮かべ
トンボは死者の魂や悪魔の使いと解釈された、と。
いつか読んだ英和辞典には”りんご”が載っていたような…。
日本の”りんご”と西洋の”りんご”
(アダムとイブや聖書の話、禁断の果実、欲望の象徴だったか)は
大きく違う、ということが書かれていた気がする。
日本の私が思う”りんご”と英語圏の”りんご”は違う、
それらのいろいろな意味を持つ単語は「りんご」だけではなく、無数にあって、どれが正しいというわけでもなく
他の文化に寛容さを持つことが必要だ、と辞書から学んだ…ハズだった。
正直、私自身、いままで国によっての単語の意味の文化的違いに
こんなに動揺したことはないかも!というほどに動揺した。
私が動揺した単語、”天狗”。
"Tengu"(天狗)というユーザーネームのEU圏の男性、
彼は"hi"と打っただけで、
あぁ~、私、この人だけは無理!!!!!となってしまった。
そして、ふと気づく。
私は”天狗”に日本では性的な意味が内包されていることを知っていて
つい拒否反応を起こしたけれど、そもそもあの日本語初心者風の男性が
”天狗”に内包された意味まで知っているのか?と気づき、
ロンドンのパルに聞いてみた。
彼女は日本文学で博士コース卒業!
「天狗について、知っていることを全部言ってみて!」とロンドンのパルに言うと、
Tengu are forest demons, they can shapeshift,
(天狗は森の鬼で変幻自在、)
They are fickle(彼らは気まぐれで)
They can look like people with a crows head, big wings and bird feet
(カラスの頭に人間のような恰好をして、大きな翼と鳥の足をもっている)
模範的解答!!
ほかには?と聞くと、
”And willies!" (それから、おちんちん!)
さすが、ロンドンのパル、完璧解答。
日本に関する学部で博士号取得しているロンドンのパルは知っていた天狗の隠喩表現、
きっとその彼は天狗について、妖怪の一派くらいにしか思ってないわよ、
とロンドンのパルに言われた。
そうか、これがcultural context(文化的脈絡)なのか。
私とロンドンのパルで”天狗”で見えている世界が違う!!
ロンドンのパルは「じゃあ、タヌキはどうなの?」と。
ロンドンのパルには金玉をでかでかと表現する日本のタヌキが
気になって仕方がないらしい。
…全く気にしてなかった。八畳敷きだかなんだか知らないけれど。
「もし、タヌキっていうユーザーネームの人がいたら、
やっぱりメイは性的なものを感じて拒否反応を起こすの?」と聞かれた。
多分…ほとんどの日本人は、”タヌキ”=信用できない人物、
というイメージなので、
自分でそれ、言っちゃう?と笑ってしまうだけで、
誰も「八畳敷き?!」とはならないと思うよ、と笑ってしまった。
アンカー英和辞典に書かれていた。
「言語文化に優劣をつけない」
「Different Games,Different Rules.(ゲームが違えばルールが違う)と
考えて、異文化に対する寛容的態度を養うこと」
そして、最後に「英語の辞書を読む習慣を身につけること」。
やっぱり紙の辞書はイイ!