ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『おでかけは最高のリハビリ 要介護5の母をウィーンを旅する』

介護に関する本は難しい、と思う。
介護をする年齢の人々が読むともなると、読者層も高く
目が肥えている。
介護の成功体験談を読んでも、「その要介護度ならね…」と
思ったり、
環境がよかったのよ、とか
お金があるからできたことね…と思ったりしてしまう。
また介護の実録記なんてものは共感しすぎて、
しんどくなる。
コミックエッセイでも読んでて辛い…それが私にとっての
介護の本。
だから、介護の本には近寄らない!をモットーにしているのに
読んでしまった。

『おでかけは最高のリハビリ 要介護5の母をウィーンを旅する』

おでかけは最高のリハビリ! 要介護5の母とウィーンを旅する

脳内出血で左半身麻痺、要介護5になった母親と
ウィーンを目指す娘の物語。
…という本の話になる前に、彼女の母親が脳内出血で
救急搬送された話が、「これ、わからん!」と
関東の人が読んだら思うに違いない。
同じ兵庫県内在住の私には「えぇ~?!そんなところまで?」と
とてもよくわかったのは彼女と両親は兵庫県三田市在住だから。
あぁ、アウトレットのあるところ!と私にもわかった。
脳内出血を起こしたとき、神戸の病院を断られ、
西脇の市民病院へと緊急搬送されたらしい。
三田なのに西脇…とびっくりしたけれど、この遠さ、
東京や関東の人にはわかるまい。
よく本を読んでいると、新宿、銀座、秋葉原…と
どこどこまで歩いたとか出てくる。
その距離感、全然わかりませんけれど!!といつも思っていた。
この本を読んで、「三田から西脇…距離感、わからんわ!」と
思った人もいるだろうなぁと思った。

車椅子からも滑り落ちる要介護5(最も高い!)の母と
ウィーンを目標にリハビリに励み、ウィーンへ行く。
「それは夢ではなく計画」という彼女の意気込みが頼もしいけれど
問題はいろいろある。
それでも、それらを超えて、計画を完遂したときは
私まで晴れ晴れしい達成感を感じることができた。

2年前、車椅子の実父と海外旅行へ出かけた。
足が悪いので基本車椅子を使いたい、という実父との海外旅行、
予想以上に大変だった。
優先搭乗も担当者によって言うことが違う
(車椅子の本人のみ、同伴者1名可、
グループ全員優先搭乗などなど)
同じ航空会社でなんでルールがちがうの?と英語で私が
質問している横で、車椅子の実父は「喫煙場所は?」と
喫煙場所を探して出かけたり…(優先搭乗するハズなのに)
空港にあるハズの車椅子がなかったり…
空港職員が連れていく、と行ったのに放置されていたり、
「英語くらいできるから大丈夫」と言っていたのに
時間すら聞き取れていなかったり…。

「もう、なんでやねん!!」と怒っていた記憶しかない私は
彼女の献身的な介護に脱帽。
なんてひどい娘だ、私は…と思いながら読んだ。
だから介護の本は読みたくない。
自分の未熟さを痛感するからなんだわ、と気づく。
願わくば、一人でも多くの人が彼女の本を買って読み、
印税でまた彼女が家族旅行に行ければいいなと思う。