ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

過去に戻ったら

NHKのHPで見つけた特集に目が釘付けになった。

www3.nhk.or.jp『母親になって後悔している』という女性たちの言葉を
まとめたイスラエル社会学者の本。

この本は「今の知識と経験をふまえて過去に戻れるとしたら、
もう一度母になることを選ぶか」という質問に
「いいえ」と答えたイスラエル人の
女性23人にインタビューした内容をもとに構成されています。

この本に賛否両論が巻き起こり、しかも著者には殺害予告まで…。
まだ読んでもいないけれど、
最初の感想は「母親を神格化しすぎでは?」と私は思った。

「今の知識と経験をふまえて過去に戻れるとしたら、
もう一度母になることを選ぶか?」
そう聞かれて、「もちろん!」と即答する女性は、
多いだろうか、と正直、思う。
私なら、悩む…そして、「いや、産まない選択を次はするかも」。
ただ、「母親になって後悔しているか?」と聞かれると、
それは違う、とは思う。

母親になったことは後悔していない。
それでも、またいまの経験と知識を踏まえて過去に戻るなら…
どうすると思う?と友人に聞いた。
「結婚という選択すらしなかったかもね」と返ってきた。

そんな話を子持ちの友人としたとロンドンのパルに話すと、
「こどもが生まれて2年。私はすごく変わった。
夫は全く、何も変わってない。彼は変わることなく生活できる。
私は仕事に復帰することすらできない。
核家族は先進的な家族形態だと学んできたのに、
いま核家族で、一人で育児をしている私はただただ、みじめよ。」と
話した。40年前の話ではなく、今、2022年にイギリス人女性が!

それは数年前の私を見る気持ちだった。
社会から置き去りにされた気分になり、
言葉もろくろく離せない乳幼児につきっきりで
(目を離すと何を口に入れるかわからない、最悪は死ぬ…と
思うと目が離せない!)
睡眠時間も日常的に足りていないので、
前向きな発想がでてくるはずもなく、
こんなはずじゃなかった…と愚痴りたいけれど、
愚痴る相手も選ばなければ、「赤ちゃんなんてかわいいものよ」とか
「それもいまだけ」とかなんの気休めにもならないことを言われ…
この瞬間を楽しめない、なんだかこどもがたまに嫌になる、
それって母親失格なのかしら…と追い詰められていく。
その先に事件が起きていたかもしれない、という紙一重の感覚は
多くのママさんが経験していると思う。

そんなことを思い出していたとき、ふと気づいた。
日本の私の友人たちは私を含めて”選択”という言葉をよく使う気がする。
結婚も出産も”母性”もない。
そこにあるのは”私の選択の結果”だと。
ひとつの”選択”の結果かもしれないけれど、
”母親になる”という選択は、ほかのどの選択よりも
女性の選択肢を極めて狭めていると思う。
その選択は、散髪や服装のテイストや色を決めることとは全く違うし、
歯の矯正をするかどうか悩むこととも違う。
自分のことのようで、自分のことではなく、しかも人生が変わる…。

本を読む前から、こんなに考えさせられる本。
読むのが楽しみ。