ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『無人島のふたりー120日以上生きなくちゃ日記』

久しぶりの山本文緒
学生時代にはお気に入りの作家だった気がするけれど
新刊がでても読まなくなっていた。
そんな彼女が癌で亡くなったことを知った時、
あの若さで?!と衝撃を受けた一人。
いつでもまた読みたいと思った時には読めると思っていた。

無人島のふたりー120日以上生きなくちゃ日記』は、
彼女がすい臓がんのステージ4と診断され、
予後を4か月(120日)と知ってからの闘病記。
お涙頂戴ものではなく、淡々と彼女の日々が描かれている。

癌の宣告を受けてから、夫と二人でまるで無人島に取り残されたような
気分になるという記述に、末期ガンの彼女でしか書けない空気の
切り取り方を感じた。さすが作家だ!と。


癌の闘病記を読みながら、不思議な気分だった。
闘病記といいながらも、末期で緩和ケアに移行してからの日記で
結末も読者の多くはほぼ知っている。
それでも、読者の一人として、ちょっとでも長く、
あまり苦しむことのない日を多く、
いろいろな人にお別れを…と読みながら考えてしまった。
まだまだ読みたい作家さんだった。