ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

伴奏

末っ子が合唱のピアノ伴奏をすることになった。
5,6年前に花子もピアノ伴奏をしたことがあるけれど、
そのときは一定のリズムで弾くことに苦戦した記憶しかない。
それに比べて次郎のピアノは一定のリズムで花子が弾いた伴奏レベルまで
あっという間に到達し、余裕!と思っていた。

夏休みに楽譜をもらってから、すでに2か月、
楽譜のレベルはそれほど高くない。
それでも、伴奏って、本当に大変…と思わされた。

例えば、学校で伴奏に合わせて歌い始めたのは1か月前。
「全く合わなかった」らしい。
中学校の音楽教諭は次郎に「歌に合わせてテンポアップして」と
言ったそうで、ピアノの先生にその旨を伝えてテンポアップする。
ある程度まではテンポアップした…
でも、これ以上のテンポアップはそもそもの歌と合わないから!と
私も思うし、ピアノの先生も思うレベルまで音楽教諭はテンポアップを要求。
歌も先生のテンポアップに応える形で早くなり…
ピアノも早くなり…
あぁ、そういうピアノ伴奏の合唱、見たことあるわ。
駆け抜けるような合唱…緊張からか歌が早くなるのはわかるけれど
歌にピアノが合わせるとますます駆け抜けるから、
ピアノはどしーんと一定速度で…と私は思っていたけれど、
音楽教諭の目指すものとは違うらしい。

しかも、前奏を若干カットし、間奏はオールカットし、
歌の後のピアノ部分もカットし、音楽教諭がアレンジ。
・・・なんだ、そのぶつ切りは?!みたいなピアノ部分になっている。

こうなってくるとピアノの先生も「なんだそれ?!」と怒りだし、
「そもそも、その音楽教諭はピアノがうまいの?」と言い出した。
次郎は「うーむ」と考える。
私はハラハラしながら、ピアノの先生に言う。
小学校の時の音楽教諭のピアノは上手とはいえず
(勤続4年目でも校歌をミスる…)
花子が中学校にいたときの音楽教諭はピアノ上手だったけれど、
そのときの音楽教諭を次郎は知らないので
そもそも比較対象がいないと思います、と上手に逃げようとしたのに
次郎は「ピアノの先生と比べてピアノがうまいか?ってこと?」と
言い出す。
こういうのを”すっとこどっこい”って言うんだと思う。
ピアノの先生、「私のピアノと比べないでよ!」と言う。
ええ、ごもっとも…欧州に演奏旅行に行っていたピアノの先生と
比べたら失礼ですから!
「まさか専攻はピアノって言うんじゃないでしょうね?」と
音楽教師にお怒りのピアノの先生、専攻はピアノではなかった…。
レアすぎて、私もそんな専攻で音楽教諭の道もあるのか?!と驚いた。

テンポも音楽教諭と次郎の妥協点を見出し、
順調…に思ったら、今度は次郎は「もっとピアノの音を小さくして」と
言われたらしい。
体育館で演奏するのに?なんで?とピアノの先生と聞くと
「ピアノにマイクをつけるから。」と次郎が言う。
・・・はぁ?ピアノにマイク?
大きいホールでピアノ演奏聴いたこともあるけれど、
マイクつけているピアノなんて見たことないんですけれど…と
思っていて気づく、録音するの?
録音はしないらしい。多分、ほかの人のピアノの音が
小さいからマイクをつける、と。ピアノの音が小さいからマイクをつける?
あの大きさの体育館で?
謎すぎる!!と思っていたら、ピアノの先生はどうしてもマイクをつけるなら
一番左のペダルを踏んで音を小さくしましょう、と。

そして本番10日前くらいに「ここはアカペラにする?ピアノ止める?」
なんて提案も音楽教師より出たらしい。
指揮者がきちんと指揮棒を振れず、
誰も指揮者を見ていない中で、ピアノを止めてアカペラ部分を作って
途中からピアノがまた入る?それ指揮者、対応できるの?
しかもピアノはまた変なアレンジ?!
ないない!絶対反対!断固反対!と私とピアノの先生は次郎に
「いやです!」と言ってくるんだ!と言い、
次郎は「僕は頑張った!」とピアノではなくアカペラ反対を
頑張ったらしい。
「本番10日前切ってからのアレンジはない!完成してないのに!」と
ピアノの先生は憤慨していたけれど、本当にその通り!
歌が終わってから最後へたどりつくまでの流れるようなピアノ演奏、
すべてカットで両手でミ!のぶつ切りにしといて、
まだ足りないのか。

音楽教師の一語一句が謎が謎を呼ぶ。
ピアノの音が小さいからとマイクをつける。
ピアノの音が小さくない次郎にもマイクをつけるから
次郎は音を小さくするペダルを踏む。
グランドピアノで音が小さい?中学校の体育館なのに?
…なんだこれ?
ピアノを知らない音楽の先生?ともう毎日、音楽教師の言葉が外国語にしか
聞こえない。私の知らない未知の言語を話しているよかのよう。

ピアノの先生から伴奏の指導も本格的になり、
私が聴いていると全く問題ないように聴こえるけれど、
「滑りつつあるから、しっかり押さえて」と指導されたり
「ミスタッチを防ぐために指をあまり上げすぎない」と指の形を指導されたり、
「ソでペダルを踏みかえて。和音をきれいに」と音のきれいさを追及したり、
伴奏って、奥が深いんだなぁ~と思うこともたくさんあった。
伴奏練習の感想は?とピアノの先生に聞かれた次郎、
「合わせるって大変。僕はソロで弾きたい」と言っていた。
伴奏の難しさを知っただけで、この伴奏練習は価値があったわね~と
先生はおっしゃっていたけれど、
私の感想は「二度と伴奏なんてしない!」に尽きる…。