ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

『さようなら、ビタミン』

手帳の読みたい本リストに書いたまま、買うこともなく
そのままだった本をついに読んだ。

『さようなら、ビタミン』 

さようなら、ビタミン

さようなら、ビタミン

 

 アルツハイマーの大学教授を父親にもつ娘、ルースの日記形式で
書かれたお話。日記形式で最後まで読ませる本って、意外に少ない。
私は日記形式やブログ形式、絵文字満載の本が苦手で
ブリジット・ジョーンズの日記』ですら本は最後まで読めなかった。 

 最初の2,3ページで挫折した。
日記形式で書かれた本には近づかない私が、”日記形式の家族小説”
というよくわからないキャッチコピーに惹かれて、買った。

特に何か重要なことが起こるわけではない。
婚約者に捨てられた主人公が実家に帰り、アルツハイマーの父親や
破綻しかけた夫婦関係の両親を見る。
父親本人はすっかり忘れているけれど、同僚の教授と不倫したり、
女子大生(教え子…)と不倫したりと父親がしていたことを
主人公は知る。その秘密を持ち続けることができずに母親にも話し、
冷たい修羅場にもなる。
年の離れた弟は父親が不倫し、それを母親が知り悲しんだ状況を
多感な時代に知り、父親を軽蔑している。
(主人公は大学生になり、そのとき、家を出ていた)
どこにでもある、ありふれた、家族のお話だと思う。
完璧な家族なんていないし、なんとかそれでもやっていく…
それが家族なのよね、と思いながら読み終わった。
結末はない。日常は続いている、そんな終わり方だった。

ドキドキ、わくわくさせられるお話でもなければ、
読み終わったときに幸福感に包まれるわけでもない。
でも、読む価値はある!そう思える本。
ただし、30代後半以降、家族のややこしさをわかってきてからが
おすすめの読者層。