ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

訳さない理由

ロンドンのパルたちが滞在中、何度か「ちゃんと訳して!」と
言われたことがある。

例えば、ドイツからのカードゲームをしていたとき、
ルール説明を聞いた後に「何歳からできるの?」と聞いたとき
ロンドンのパルの継母が何度話してもルールを理解できなかった、
という話になった。

「その彼女って、ステップマザー(継母)よね?」と
私が英語で聞くと、いかに彼女が自己中心的で云々という話と
大人になってから再婚してできた継母でなにもしてくれない云々、
という話だった。
我が家のこどもたち、キラキラしたお目々で「なんて言ってるの?」と
聞いてくる。
こどもたちに継母を受け入れられない感情云々を訳す…?
いや、それちょっと…と考えて、
「大人になってできた継母だから、あまり思いがない」と
訳すと、「もっとあった!!」と言われた。
いや、もう精いっぱい…。

高校生の花子が「嫁姑問題はイギリスでもあるの?」と聞いてほしい
というので、英語で聞いてみた。
ロンドンのパルの夫は「うっ…やばい」という顔をした。
その通り、ロンドンのパル、止まらなかった。
「義母ったら…」から怒涛のスピーチがあった。
その多くは私は聞いたことあったけれど…と思いながら聞いていた。
「なんて???」と子どもたちが聞いてきたけれど、
嫁姑戦争になっているロンドンのパルの話を全部訳す?
中高生のこどもたちに?
えーっと…「あまり仲良くないって。」と具体例をすべてカットして
訳すと、「全然訳してない!」と猛抗議を受けた…
結婚への夢が破れる話をロンドンのパルは語っていたので
訳せないわ~となった。

ロンドンのパルが彼の夫と言い合いを始めると、
「なに?なにでもめているの?」と何度かこどもたちや夫から聞かれた。
夫婦喧嘩は犬も食わぬとは言うけれど、
そんなに大した内容を語ってないし、同時通訳するほどの
必要な情報はどこにもないから、どれを訳すんだ?と悩むことも多かった。
そして何も言わない…。

例えば、次の行き先は名古屋だったので、
ホテルのチェックイン時間に合わせて新幹線の時間を決めようと
彼女たちがしていたとき、
そもそも駅からホテルまでの移動時間はどのくらいなの?と思い、
「ホテルから駅までは遠いの?ホテルはどんな感じ?」と聞いた。
それを聞いたロンドンのパルの夫の答えは
「僕たちの泊まるホテルは…」とホテルの説明が始まり、
いや、私が聞きたかったことはホテルの説明ではなく、
駅からホテルまでの移動時間なんだけれど、あれ?私の英語は伝わってない。
どっかで間違えたかな?言い方が悪かった?と思っていると
ロンドンのパルが
「メイが聞きたかったのは駅からホテルまでの移動時間と移動手段で
ホテルの説明なんて求めてないでしょ!
大体ね~…」と言い合いになっていた…。
あるあるすぎる…私と夫もこういうのよく言い合うわ~と思いながら
私は二人の会話を聞いていたけれど、
こどもたちは「なんて?なんて?」と何を言っているのか知りたがっていた。
通訳をしている人たちは、一体、どこからどこまで訳すんだろう。