ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

萎縮と占い

裁判員生活を4日したとき、世間話の大変さに気づいた。
裁判員は番号で呼び合う。
「1番さん」
「補充2番さん」
「4番さん」と。
誰がどの都市から来ているかも知らなければ、
もちろん家族構成も仕事も知らない。
プライベートは明かさない、とする。

それでも言葉の端々にはでてきて、
「うちの息子はまだ結婚しない」と聞けば
そうか、そんな年齢の大きな息子さんがいるのか、と知ったり、
「奥さんが結婚指輪をつけないと嫌がる」なんていう話から
既婚だと知ったりする。
「前の職場では…」と話す内容から前の仕事内容がわかったり。
それでも、みなさん、プライバシーをできる限り明かさないように、
と気を付けていることを感じる。

知らない人との会話の糸口は”共通点”を見つけることだと思う。
「うちは娘が一人いて…」と話すと、「あら、うちも娘が一人いるの~」とか
「中学生の息子がいて…」からこどもの話になったり、
どこどこのランチがおいしいという話とか
ケーキ屋とかカフェとか…(食べ物の情報交換の多さよ!)
それなのに、裁判員の方々とはその話はできない。
裁判所までどのくらいかかるか?ですら、みんな言葉を濁す。
私がいつも1番2番の早さで着くので
同じく1番を争う裁判員さんと「遠いんですか?」という話になった。
「高速道路で2時間」と聞いて、あぁ~、あのへんか…と
やっぱりわかってしまう。
聞いてしまってよかったのかしら?と思ってしまったりする。
世間話ですら、こんなにも気を遣うので、
ランチタイムは沈黙。

裁判員のお昼休憩、外に出るには暗証番号がかかったドアを
通過する必要があるので、裁判官と一緒に、もしくは係員さんを内線で呼び出す。
そんな面倒くさいことを毎回させにくいので、
みなさん、基本、ひきこもり。
そうなると見知らぬ人たちで世間話もできない沈黙のお昼休憩が
ある意味、地獄。(その結果、本5冊を裁判員期間中に読めた)

「先日、駅で手相占いをしてもらったんです。」という話をお昼休憩にした。
女性3人、すごい食いついて「どうでした???」と聞いてくれた。
「ご主人に尽くすタイプだわ~」とか
「我が道を行くタイプね。時代より先を行く人ね。」
「食うには困らないけれど、金持ちにはならない手相」
と、散々だった。
そんな手相占いの話から占いの話で盛り上がった。
お昼休みが終わって気づいた。
私、プライバシーは一切言わなかった!と。
プライバシーを語りたくないとき、
天気の話に飽きてきたら、占いの話、おすすめ!

数日後、裁判長に居住の市を裁判員同士で聞くことは大丈夫なのかと
確認したら、「大丈夫です」と言われて、
みんなで市を言い合う。
市を知っただけで、すごい仲良し気分になった。