ショコラ日和

海外文通を通して、世界の友達と井戸端会議しています。

"Lucy by the Sea"

積読本を消化中。
いつ買ったんだろう…という本から数冊、最初の数ページだけ読んで
つい引き込まれた本を読んだ。

"Lucy by the Sea"

 

60代前半のルーシーが元夫とコロナウイルスが流行り始めたNYから
田舎へ脱出する。未知のウイルスが流行っているNYから来たルーシーたちは
いやがらせや侮蔑的な言葉も投げかけられる。
(白人女性でこれなら、有色人種、特にアジア人は大変だっただろうと
本を読みながら思った。)
ワクチンがいつくるかわからない不安、
いままでのように家族ともハグできない孤独感、
議事堂になだれ込む暴徒たちをTVで見て呆然としたり、
あぁ~、そうだった…なことが書かれている。
結婚して幸せだと思っていた二人の娘たちも岐路に立たされる。

物語、ではあるけれど、常にルーシーの視点で語られているので
ルーシーの日記や手紙を読んでいるような気分。
「大したことが起きない」「面白くない」と評価する人たちも多く
評価は低めだったけれど、私は大いに共感した。
主人公は60代の女性だけれど…。

ルーシーが不倫に走ったことがある、という話のときに
不倫相手の話をする。「振り返って考えると、彼は私を”特別”のように
扱ってくれて、話をよく聞いてくれた。それだけだった。」と。
不倫相手の外見は一切でてこない。
でも、十分だ!わかる!
元夫が話をちゃんと聞いてくれなかった、
聞いてほしい話を途中で「もう十分」と遮られた、
そんな彼女にとって、いや多くの人にとって、”特別”に扱ってくれる人は
それだけで惹かれる、そういう機微の描き方がすごくうまい作家だと思った。

物語を読んでいて、読み終えて、「あのエピソード、いらなかったのでは?」
「あのエピソードは文章量の調整のため?」というような蛇足エピソードを
感じることがしばしばある。
この物語の中では、多くの小さなエピソードがたくさん語られて、
そのひとつずつを知ることで、人物像がくっきりと浮かんでくる。
ここ最近で、一番、物語がうまい!と思ったけれど、
この作家の別の本はkindleのサンプル読んで満足したことも…。
私が読んだ"Lucy By The Sea"はシリーズの4番目?くらいのようだけれど、
この本から読んでもついていけるし、面白かった。
前作は翻訳されているけれど、"Lucy By The Sea"は未翻訳。

54冊目。496万語超えになったので、次の本で500万語超える。