千羽鶴を無心に折っている。
宗教心が全くないため、祈る神もわからない。
祈りを捧げる相手がわからず、なにができるわけでもなく
そういう私みたいな人には千羽鶴はうってつけなんだと
折りながら気づいた。
状況を何度聞いても、
物覚えが悪い人になったようで
全く実感がない。
「すぐに連絡できる人は?覚悟してください。」
それって、どういう意味?日本語?という
くらいに理解ができないのです。
きっと冷静なつもりが私も冷静さがなくなっているんだろう。
話すたびに泣く妹と全く泣けない私。
母方の祖父が70後半で亡くなったとき、
母に顔がそっくりな私の限界は70才くらいなのかと漠然と思った。
いま50代の母が山を越えなければ
私の寿命はまた短くなるのね、と
ぼんやりと夫に言い、ぎょっとされた。
一寸先は闇というけれど、
「一寸先は光」と言っていたらしい。
変な覚悟させんといてよ、と
数日後に笑って言えていたらいいなと
思いながら千羽鶴を折っている。